軍国的といわれるが…銃剣道を体験してみた (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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軍国的といわれるが…銃剣道を体験してみた

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試合形式の稽古をする競技者たち。東京都銃剣道連盟・東部支部支部長の渡邉正一さんは「銃剣道は『突き』だけの非常にシンプルな競技。しかし、シンプルであるがゆえに駆け引きが生まれ、奥の深い攻防になるのが魅力だと考えています」と語る

試合形式の稽古をする競技者たち。東京都銃剣道連盟・東部支部支部長の渡邉正一さんは「銃剣道は『突き』だけの非常にシンプルな競技。しかし、シンプルであるがゆえに駆け引きが生まれ、奥の深い攻防になるのが魅力だと考えています」と語る

身を守るための用具は剣道に似るが、左胸を保護する「裏布団」、左肩と胸を守る「肩」など、銃剣道ならではのものもある

身を守るための用具は剣道に似るが、左胸を保護する「裏布団」、左肩と胸を守る「肩」など、銃剣道ならではのものもある

銃剣道を体験する記者。手に持つ「木銃」の規格は、38歩兵銃に銃剣を装着した長さの166cm。重さは成年用で1100グラム以上。小学生以下は長さ133.5cmのものが使用される

銃剣道を体験する記者。手に持つ「木銃」の規格は、38歩兵銃に銃剣を装着した長さの166cm。重さは成年用で1100グラム以上。小学生以下は長さ133.5cmのものが使用される

稽古場には子どもの姿も。親が自衛官や銃剣道経験者で、その勧めで始めることがほとんどだという

稽古場には子どもの姿も。親が自衛官や銃剣道経験者で、その勧めで始めることがほとんどだという

 けれど、記者に手渡された用具は、やはり馴染みのないものだ(銃剣道では武器と防具という呼称は用いず、合わせて「用具」と呼ぶ)。まずは「木銃」。先端に銃剣を取り付けた歩兵銃を模した木刀で、長さは166cm。主に樫の木が使われており、手に持つとずしりと重い。生身の人をこれで突いたら確かに軽傷では済まないだろう。

 だがそれを補うように、身を守る用具の方に配慮が見える。

 頭部と喉を保護する「面」、腹部を守る「胴」、下腹部を覆う「垂れ」、前腕部の「小手」(左手のみ)は剣道でも使われるが、さらに「胴」の下に付けて左胸を保護する「裏布団」、左肩と胸を守る「肩」、右手につける手袋状の「指袋」が加わる。銃剣道では胴・喉・肩・左小手を突くため、剣道よりも自ずと用具が厳重になる。

 競技者たちはどんな稽古をするのか。

記者はまず子どもの部に参加するよう指示された。そこには小学3年生と2年生の男の子がふたり。先出の渡邉さんの指導のもと、行われたのは「基本技」の反復練習だった。

 木銃を右手に直立し、「構え」の号令とともに構え、「突け」の号令で突く。野球における素振りのように、それを繰り返す。

 正直に述べれば、その姿をみて記者が連想したのは戦時中の軍事教練を行う軍国少年だ。「構え」「突け」の号令に時折混ざる「回れ右」という掛け声も、そんなイメージを補強する。

 だが、実際に体験してみると、一連の動作にはさまざまな決まりごとがあることに気付く。背筋はまっすぐと伸ばす。構えたとき、木銃の柄(取っ手)を握る右手は右腰骨のあたりに置く。突くときは、左腕をまっすぐに――子どもたちがそつなくこなす一方で、慣れない記者はすぐに動きがちぐはぐになってしまう。「こうした所作がきちんとできていないと、試合では1本(有効突き)になりません」(渡邉さん)

 これは剣道など、ほかの武道でも同じだ。地道に「型」を繰り返すことで所作を身体に染み込ませ、同時にそれが肉体と心の鍛錬になる。これが武道の真髄であり、「銃剣道も同様」と渡邉さんは強調する。

「現在の銃剣道は戦前の戦技的内容を完全に払拭し、近代スポーツとして発展してきたものです。スポーツ性を高めるため、ルール変更も何度も行われています。競技の目的を「人間形成」としており、その精神は、剣道などのほかの武道と変わらないと思います」


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