小林麻央さん (C)朝日新聞社
小林麻央さん (C)朝日新聞社

 がんで闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央さん(34)が11日、自身のブログを更新し、「一日、痛みで七転八倒していました」と、前日は痛みでブログが更新できなかったことを明かした。5月末には夫で歌舞伎役者の市川海老蔵(39)が会見で顎への転移を明かし 、麻央さん自身も激しい痛みが続いていることをブログで綴っていた。乳がんであることを報じられてから9日で1年。現在は在宅医療に切り替え、がんと闘いながら家族との時間を持てた喜びを語っている。在宅医療を行うメリットとは。

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 顎への転移とその痛みとは、はどんなものなのか。都内の腫瘍内科医師はこう話す。

「血流にのって全身に転移するがんの場合、皮下組織や、骨への転移を来すことがあります。顎のがんの転移が痛いのか、機能障害がでるのか、これは患者さんによるといえますが、麻央さんの場合には痛みがあるということですので、前者だと思います。また、転移によって動きなどに機能障害を起こすことがあります。顎の先であれば、あまり障害につながりませんが、顎の関節付近の顎骨転移であれば、開口障害につながるかもしれません。下顎の骨の付け根から顎先のどこかの骨の転移であれば、ものを噛んだときにその部分が痛いかもしれませんし、そこより顎先にかけての感覚障害を伴うこともあります」

 2年前、舌がんの放射線治療をした後で、顎と歯の付け根の痛みを訴え、下顎の皮膚がんと診断された女性・Aさん(50)によると、とにかく痛みがひどく、しゃべることも、飲み物を飲み込むこともつらかったという。食べることなどもってのほかで、かろうじて卵豆腐などの柔らかいものをさらに流動状態にして流し込むのが精いっぱいだった彼女に、医師があげた治療法は3つ。手術で顎を全適出するか、副作用の強い抗がん剤治療をするか、痛みを取るなどの緩和治療に専念するか、だった。Aさんは苦痛の少ない緩和治療に専念する道を選び、24時間、自分で調節できるモルヒネの点滴を行ったという。

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