日本代表の監督にハリルホジッチが就任してから3年目に入り、いよいよ“W杯イヤー”に突入する。アジア最終予選のB組は暫定ながら勝ち点16で3カ国が並ぶ大混戦。イラク戦を控える日本は1試合少ない状態で得失点差の首位に立っているとはいえ、本大会出場が決まったわけではなく、指揮官も「ロシアにもう行けると思っている人たちがいる」と警戒をうながす。その一方でその時その時の状況判断をしながらも、おおよそ本大会から逆算したメンバー構成のビジョンは常に頭の中にあるに違いない。

 残り1年の中でもベースの部分は継続しながら、本大会に向けたパズルのピース探し、そして必要に応じた組み替えを行っていくはずだ。普通、一度ある程度の完成度に達すると、パズルのピースを組み替えるリスクを冒しにくくなるものだ。しかし、このハリルホジッチは本番で結果を残すために、時に躊躇なくピースの組み替えをする。

 まずはイランのテヘランで行われるイラク戦に勝利し、最終予選の突破に大きく近づくことが先決だが、W杯仕様のチーム作りの仕上げとして、アルジェリアで当時19歳だったナビル・ベンタレブや全く無名だったマフレズを抜擢したような、いわゆる“サプライズ選考”が用意されるかもしれない。もちろん、それは勝つための決断だ。(文・河治良幸)