小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「プリンス堀潤のそもそもキーワード」。今回は「シェアリングエコノミー」について一緒に考えます。

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 みなさんの手元に「買ったけど使っていないもの」はありませんか? ぼくの場合は、動画の撮影用に買ったドローン。災害現場など限られた場所でしか活躍の機会がなく、誰かに貸したいけれど呼びかけるのも面倒で、ほぼ事務所で羽根を休めています。心の中で「もったいないなぁ」と思いつつ。

 実は今、こうした「持っているけれど使っていない」ものと「持っていないので使いたい」という人とをインターネットを使って結びつけるサービスが、世界中で急速に広まっています。「シェアリングエコノミー」といって、わざわざ買ったり、つくったりしなくても、誰かの所有物をシェア(共有)して、効率よく経済活動を行うという試みです。

 シェアリングエコノミーの対象はさまざまです。例えば「家」。借りる人がいない空き家や、使っていない部屋を旅行の際に宿泊先として使えたら便利ですよね。空き部屋と人を結びつけるサービスで有名なのが、アメリカ・サンフランシスコに本社を構える「Airbnb」。彼らが運営するサイトには、世界191カ国、300万件以上の家や部屋の情報が掲載されています。

さらに、車のシェアリングエコノミーもあります。同じくサンフランシスコでスタートした「Uber」は、スマートフォン(スマホ)のアプリを使った配車サービスを提供しています。自分の車を使って、近くにいる誰かを乗せて目的地まで送り届けるサービスです。ドライバーは空いた時間に自家用車を使って収入を得られ、乗車する人は、近くにいるUberの車ですばやく移動できます。

 日本のシェアリングエコノミー協会によると、誰にも活用されていない空き家は総住宅数の約15%、約1万戸にのぼり、自動車の利用率は約5%で年に20日程度しか利用されていないそうです。これは氷山の一角で、まだまだ「使われずに眠っているもの」がたくさんあるといわれています。

 そのほかにも、クローゼットにしまわれたままの「洋服」のシェア、誰も車を止めていない「駐車場」のシェア、自分の得意なことを誰かのために使う「スキル」のシェアなど、さまざまな分野でサービスの提供が始まっています。

 インターネットが普及し、スマホの利用者が増えたことで、人と人を結びつけ、ものや時間をシェアすることが簡単にできるようになりました。今までの「つくり続ける時代」から、みんなで「うまく共有する」時代へ。みなさんもお互い協力しあって、シェアする感覚をぜひ身につけてみてください。(ジャーナリスト・堀潤)

【今回のポイント】
●誰かの所有物をシェア(共有)して、効率よく経済活動を行うことを「シェアリングエコノミー」という。
●シェアリングエコノミーの対象は多様になってきている。
●インターネットの普及や、スマホの利用者の増加によってものや時間のシェアがより簡単に。

※月刊ジュニアエラ 2017年6月号より

ジュニアエラ 2017年 06 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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