低学年のころはそんなに手がかからなかったけれど、小学4年生くらいからグンと難しくなるのが小学校の算数。このあたりから、「できる子」「できない子」の差もはっきりと開いてきます。AERA with Kids夏号では、「算数の教え方」を大特集。プロ家庭教師で、算数教育家の安浪京子先生に教え方のコツを聞いています。

 安浪京子先生は「子どもに算数を教えるときは、子どものレベルまで下がって、寄り添いながら一緒に勉強する姿勢が大切です」と話します。

「算数を教えるには、算数が得意な親のほうが、『教え方もうまい』と思われがちです。しかし、どうしても『なぜこれが理解できないのか』という方向に目がいって、子どもの『わからない』部分を見てあげることができないのです」

 また、子どもに算数を教えるとき、親が「こうだ」と無意識に思い込んでいる常識も、実はかん違いであることが多数あります。この思い込みが、子どもを算数嫌いにしてしまいます。そこで、代表的な5つの思い込みと、対応策をご紹介しましょう。

(1)算数が得意な親のほうが、教え方がうまい
 算数が得意だから、教え上手とは限りません。親は「なぜこんな問題が解けないのか」ということが理解できないので、子どもについ辛らつな言葉をかけてしまうことも。こんなことが重なると、子どももどんどん算数が嫌いになってしまいます。実は、算数が苦手な親のほうが、子どもの「わからない」に寄り添うことができるもの。いっしょに考え、問題が解けたら「すごいね!」と素直にほめてあげることができるからなのです。この姿勢こそ、親子の算数学習の効果を上げる大きなポイント。「これ、難しいよね」「やった、解けたね」といった、子どもと同じレベルでの声かけが、子どものやる気をアップさせます。

(2)計算力は、学校の授業と宿題だけで身につく
 教科書に載っている演習問題。実は数が圧倒的に少ないのをご存知ですか? 2、3問解けたからといって、計算力が身についたとは決していえません。つまり、学校の授業だけでは、計算力はつかないものなのです。計算力のアップには、コツコツと地道に何度も解くことがいちばんの近道。家では、ドリルなどを継続して行うことが、計算力を鍛えるのです。

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AERA dot.編集部
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