「藤原竜也の演技について、大根役者と言い放つのはさすがに暴言です(苦笑)。そもそも彼は蜷川幸雄に見いだされ、この世界で成功してきた。テレビの常識にはまらない強烈な演技が、持ち味の役者です。藤原の演技が一般人からネットなどで“下手くそ”と言われてしまうのは、映画『カイジ』や『デスノート』などでの叫び演技があまりにも印象的だったため、ネタにされたことが原因だと思われます。求められれば、その役をやるのは役者として当たり前です。同じようなことは、香川照之なども言われている。連続ドラマは、時間の経過があるので、ある程度しっとりした『ハマる演技』が求められるが、『リバース』ではうまくドラマサイズにチューニングしており、彼の演技力の高さをあらためて見た気がしますね」(民放ドラマ制作スタッフ)

 もともと15歳で蜷川幸雄の舞台『身毒丸』でデビューし、その演技は海外の新聞などでも絶賛された藤原。その後も蜷川の薫陶を受け続け、亡くなった時に読んだ弔事では、過酷な指導を振り返っていた。彼の仕事が評価された映画『バトルロワイヤル』『デスノート』『カイジ』などでは、そうした情感たっぷりの演技が受け大ヒットに。もちろん舞台での存在感も圧倒的で、蜷川幸雄舞台の代名詞、シェークスピアの2003年に上演された『ハムレット』で藤原はタイトルロールを務め、演劇賞を総なめにした。今回のドラマは、静かなトーンのミステリで、藤原も普段はやらないようなさえない役を務めることで、ドラマサイズにうまくハマったのかもしれない。

 ドラマ自体も、クライマックスに向けて盛り上がりをみせ、ドラマオリジナルの比率がいよいよ大きくなってきている。犯人が原作とは違う人物になりそうな予感もあり、目が話さない展開に。さらに、これまで見ていなかった視聴者が、噂を聞きつけ、TBSのオンデマンド放送や振り返り放送などの視聴率も上がっている。結果的に今季ナンバーワンドラマと呼ばれることになるかもしれない。(ライター・黒崎さとし)