ソフトバンクの東浜巨(左)と日本ハムの近藤健介(c)朝日新聞社
ソフトバンクの東浜巨(左)と日本ハムの近藤健介(c)朝日新聞社

 連日の夏日が続いた5月。上昇した気温に負けじとペナントレースを熱く沸かせた男は誰か?5月1日から5月31日までの1カ月の戦いの中でのパ・リーグの月間MVPを予想したい。

【パ・リーグ投手部門】
東浜巨(ソフトバンク
 パ・リーグ投手部門の最右翼は則本昂大(楽天)だろう。5月4試合に先発して4勝0敗、防御率2.25。加えて、4月の2試合を含めて6試合連続2ケタ奪三振をマークして野茂英雄の持つプロ野球記録に並んだのだから、印象度はかなり高い。だが、則本と同じリーグトップの月間4勝を挙げたのが、大卒5年目の東浜巨(ソフトバンク)だった。

 プロ入りから3年間はドラフト1位入団の期待に応えられなかったが、昨季は先発ローテーションとして自己最多の9勝(6敗、防御率3.00)を挙げて飛躍を遂げた。そして今季は和田毅、武田翔太という昨季の勝ち頭2枚が故障離脱する中で奮闘。4月を2勝1敗、防御率2.84で終えると、5月は5試合に先発して4勝0敗、防御率1.95とエース級の働きを披露。5月30日の中日戦(ヤフオクドーム)では、9回をソロ2発のみの2失点に抑えて自身4年ぶりに完投勝利。7試合連続のクオリティースタート(6回以上を投げて自責3以下)も続け、先発の柱としての働きを続けている。

 月間MVP受賞となれば自身初。沖縄尚学高時代にセンバツ甲子園優勝の原動力となった右腕。則本と同じ1990年生まれの26歳。プロでの実績は則本の方が上だが、かつての世代ナンバーワン右腕としての実力を、この5月に再証明したと言えるだろう。

【パ・リーグ打者部門】
近藤健介(日本ハム
 打者部門は候補者が目白押しだ。打率.355、6本塁打、21打点の上林誠知(ソフトバンク)、打率.351、5本塁打、13打点の秋山翔吾(西武)、打率.344、8本塁打、19打点の松田宣浩(ソフトバンク)、打率.341、5本塁打、19打点の茂木栄五郎(楽天)。さらに打率.333、10本塁打、27打点のレアード(日本ハム)、打率.333、10本塁打、22打点のウィーラー、打率.312、10本塁打、26打点のデスパイネ(ソフトバンク)の助っ人勢も好成績を残し、誰が選ばれてもおかしくない状況だ。

 だが、ある意味“似たり寄ったり”の数字が並ぶ中、明らかな“決め手”を持っているのが、5月の月間打率.397を残した近藤健介(日本ハム)だ。高卒6年目の23歳。打率.265と不甲斐ない成績に終わった昨季の反省を生かしながら、開幕から快音を響かせ続け、5月は21試合に出場してヒット数は25本と少なめだが、断トツトップの25四球を選んで驚異の出塁率.571をマーク。同時に月間打率も4割目前の数字を残して見せた。

 3・4月の月間MVPはT-岡田(オリックス)に譲ったが、近藤自身は打率.416で4月を終えていた。故に、今季通算ではここまで46試合に出場して打率.407の“夢の4割台”をキープ。日本プロ野球史上初の打率4割バッター誕生へ向けて、まずは5月の月間MVP受賞で弾みをつけてもらいたい。