これは試されている? 乗るなら今しかない! と気がついたら、「このたびは~、お疲れ様でしたあ~」と、はじめましてのご挨拶代わりにとっさにこぶしを回して熱唱していました。するとすかさず鶴瓶さんが、

「だから誰やねん!」

 と笑いながら突っ込んでくれたのです。手応えを感じました。

 その後も、マイクを持つ左手の震えを重ねた右手で感じながら、お三方から次々に繰り出されるコメントに必死で反応しました。

 たけしさんが「噺家として二ツ目(落語家の階級で真打ちの次、上から2番目に当たる。寄席で2番目に高座に上がることから、こう呼ばれる)になったから手ぬぐいをつくれるんだ」とうれしそうに教えてくれたので、思い切って「では、物販で展開しますか?」と返してみる。すぐさま鶴瓶さんが「やらしいこと言うなや!」と笑顔で突っ込んでくれる。「本当にこれNHKかよ?」とたけしさんも苦笑い。

 お三方が並んで座ってこちらを見ている光景は、まるで、その場でテレビを見ているような超現実的な体験。収録後の鶴瓶さん、私のことを指差しながらニヤリとされました。

「やりよるな。あんたNHKのアナウンサーやないやろ?」

「はいっ! ワタクシ、しがないラジオDJですっ!」

 永遠のようで、一瞬のような10分間でした。

「あっ、ここでボケられる!」「これは突っ込める!」と感じたら、勇気を持って相手の懐に飛び込んでみる。そんな冷や汗かきながらのチャレンジ精神は、実力のある大物さん、偉い人であればあるほど「おっ、頑張ってるな」と、きちんと評価してくれます。

 そこでコケちゃっても大丈夫。そんなあなたを必ず誰かが見てくれていますし、自分の心臓に細い毛を生やしてくれる貴重な経験になります。