平野美宇(c)朝日新聞社
平野美宇(c)朝日新聞社

 ドイツ・デュッセルドルフを舞台に5月29日〜6月5日に開かれる「卓球世界選手権」が開幕前日の28日、開会式と男女シングングルスのドロー(組み合わせ抽選)を行い、第64シードまでが決定した。中でも活躍が期待される平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)は唯一、強敵の中国人選手がいないブロックに入り、自ら強運を呼び込んでいる。ただし、予選から勝ち上がってくることが予想される、実力は中国トップクラスの木子が同じブロックに入った場合、そこが一つの山場となる。

 「ドローはめっちゃ緊張した。運命がかかってますからね。でも、いい所に入れてよかったです」と思わず笑顔の平野。同じブロックには世界ランク4位で2012年ロンドン五輪の銅メダリストでもあるシンガポールのフォン・ティエンウェイがいるが、最近の対戦成績は平野が上回っており、勝機は十分と自信をのぞかせている。ちなみに平野は今大会に自己最高の世界ランク8位で臨んでいる。

 平野がフォンに勝つと、準決勝では世界ランク1位でリオ五輪金メダリストの丁寧(中国)との対戦が濃厚だ。丁寧といえば、今年4月のアジア選手権で平野に敗れた世界女王。雪辱に燃える中国は今大会に向け平野対策に全力を挙げてきた。平野も「私のコピー選手を4人ぐらい作って対策してきたと聞いている」と話しており、今大会の再戦に大きな注目が集まっている。その一方で、丁寧と同じブロックに入った日本のエース、石川佳純(全農)が丁寧に勝てば、平野との日本人対決が待っている。その場合、二人の対戦は今年に入って3回目。年明けの全日本選手権では平野が石川からタイトルを奪って日本一に輝き、4月のワールドツアー・韓国OPでは石川が平野に勝ってリベンジを果たした。その石川と平野は今大会ダブルスを組んでおり、3回戦で中国ナンバーワンの丁寧/リウ・シーウェンのペアと対戦。シングルスとは一転、結束を固めることとなる。

 男子は日本のエースで世界ランク6位の水谷隼(木下グループ)は、世界ランク3位のシュー・シン(中国)と同じブロック。2回戦では史上最年少の13歳で世界選手権日本代表に選ばれた張本智和(JOCエリートアカデミー)と対戦する。

 男女とも総勢128人が出場し、個人戦が行われる今年の世界選手権。29、30日の予選ラウンドが終わると全てのドローが決まり、31日からシングルスが本格始動する。なお男女ダブルスと混合ダブルスは30日からスタートする。(文・高樹ミナ)