“国際弁護士”猿田佐世「トランプ大統領になっても日米が何も変わらない理由」

連載「不都合な日米の真実」

 昨年の今ごろ、私はメディア取材や講演の場で「トランプ氏が大統領に当選したら日米外交はどうなると思いますか」との質問を受け続けていた。

 トランプ氏は、大統領選挙期間中、「駐留経費を日本が全額支払わなければ、在日米軍撤退」「日米同盟は日本の負担が少なく不平等」という発言を繰り返していた。日本の左派・リベラル派の中には、トランプ氏になれば、沖縄・辺野古の基地建設を含めた在日米軍の存在に何か変化があるのではないかといった期待を持った人も少なくなかった。

 もっとも、私はその質問に対し、「残念ながら、トランプ氏が大統領となっても日米外交は大きくは変わらないだろう」と答えていた。

 その一番の理由は、日米におけるこれまでの外交担当者などがそのような変化を許さないだろう、というものであった。彼らの抵抗が極めて強いであろう中、トランプ氏の多くの公約のうち対日外交は優先順位が高いものではないために、従来通りの日米関係がトランプ政権以後も続くであろうと私は予想していた。

「ヒラリー・クリントン大統領では何も変わらない」「トランプ氏の変化の可能性にかけたい」と言う沖縄の人々などの気持ちも痛いほど感じていた。

 その後1年経ち、現状はどうか。

 昨年11月、トランプ氏が大統領に当選したが、日本政府はトランプ氏を既存の日米関係へと引き戻すべくトランプ氏への働きかけを行った。「なりふり構わず」とも評されたその働きかけは、私の予想を上回るものであった。当選直後のトランプタワーでの面談もしかり、日米同盟は「不変の原則」と謳った国会での施政方針演説しかりである。

 日本政府にしてみれば、全ての政策の中心に米国を据えてきたため、既存の日米関係が変わってしまっては困るのである。世界中が非難するイスラム諸国からの入国拒否の大統領令についてすら、日本政府は内政問題としてコメントを差し控え、トランプ氏に配慮した。

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