尻すぼみのシーズンに終わったのは原口元気(ヘルタ・ベルリン)と長谷部誠(フランクフルト)だ。ドリブル主体のチャンスメークや献身的な守備が光り、序盤戦のヘルタで異彩を放った原口はパル・ダルダイ監督に課された6ゴール・6アシストのノルマをクリアできず、シーズン終盤にはバックアッパーに甘んじた。けがや身内の不幸で出遅れていたサロモン・カルーの復帰に伴い、主戦場が2列目の左から右に移ったのが下降線を描くきっかけになった印象だ。

 ニコ・コバチ監督のコンバートに応え、リベロの新境地を開いた長谷部は、PKキッカーを担当するなどチーム内で重要な役割を担っていた。文字通り不可欠な戦力となっていたが、3月中旬に右膝の半月板を損傷して離脱し、ラスト10試合を欠場した。チームリーダーの一人である長谷部を失った時点で7位だったフランクフルトが、最終的に11位まで転落したのは偶然ではないだろう。

 チームリーダーと言えば、シーズン途中からハンブルガーSVのキャプテンに大抜擢された酒井高徳の働きも印象的だった。持ち前のハードワークはそのままに、声をからしてチームメートを鼓舞しつづけ、最下位に低迷していたチームを見事に降格回避へと導いた。開幕3戦2発と好スタートを切った武藤嘉紀は、膝のけがによる約3カ月の欠場が残念だった。それでも最後は定位置を取り戻し、マインツの残留に貢献している。

 5度の先発出場時に結果を残せなかった宇佐美貴史(アウクスブルク)は満足いく出場機会を得られず。長期離脱から復帰し、昨年末に2015年3月以来となる公式戦出場を果たしたシャルケの内田篤人は、ポジションを取り戻すには至っておらず、来季の巻き返しが期待される。(文・遠藤孝輔)