今の与党(あるいは維新も含めて)には、反対意見や少数意見を尊重しようとする姿勢があまりにも欠如していると思う。

 法務大臣すら法案の基本的な内容を説明できないような状況で、「時が来ました!」などと言うのは、あまりに乱暴な話だ。時間をかけてでも、一定の合意形成を図ることができるように努力すべきだし、それができないなら廃案になって当然だ。

 国連のプライバシー権担当の特別報告者からも、「テロ等準備罪」に対する懸念が18日付書簡で示された。その中には「もし要請があれば、現在審議中の法案やその他の既存の法律を、国際法秩序に沿った適切なものに改善するために、謹んで専門知識と助言を提供して日本政府を支援したいと思います」とある。

「テロ等準備罪」を新設しようとする法案は、そこまで言わせてしまうほどのものなのだ。

 7月に都議選があるから、早く法案を成立させたいなどという思惑は、僕ら国民目線でみると、どうでもいい。それよりもきちんと議論を尽くすべきではないですか。その上で、テロ対策がさらに必要なのだとしたら、具体的な事例を挙げた上で、個別に法整備をすればいいのではないでしょうか。

「テロ対策」ということにして、共謀罪を無理やりにでも推し進めようとする今の政府・与党のやり方は到底、僕には許容できません。(諏訪原健)

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諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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