肺がん手術データ 全国ランキング1位~20位/【ランキング表の見方】がん診療連携拠点病院と厚生労働省が届け出義務を課す「肺悪性腫瘍手術等」が2014年に10例以上の744病院を対象に調査した。15年1年間の原発性肺がんの切除手術の総数で並べた
肺がん手術データ 全国ランキング1位~20位/【ランキング表の見方】がん診療連携拠点病院と厚生労働省が届け出義務を課す「肺悪性腫瘍手術等」が2014年に10例以上の744病院を対象に調査した。15年1年間の原発性肺がんの切除手術の総数で並べた
肺がん手術データ 全国ランキング22位~39位/【ランキング表の見方】がん診療連携拠点病院と厚生労働省が届け出義務を課す「肺悪性腫瘍手術等」が2014年に10例以上の744病院を対象に調査した。15年1年間の原発性肺がんの切除手術の総数で並べた
肺がん手術データ 全国ランキング22位~39位/【ランキング表の見方】がん診療連携拠点病院と厚生労働省が届け出義務を課す「肺悪性腫瘍手術等」が2014年に10例以上の744病院を対象に調査した。15年1年間の原発性肺がんの切除手術の総数で並べた

 肺腺がんで闘病中だった俳優・野際陽子さんが13日、亡くなった。81歳だった。野際さんは3年前に肺腺がんが発覚し、手術や抗がん剤治療を続けていたという。歌舞伎俳優の中村獅童さん(44)も、人間ドックで初期の肺腺がん見つかり、今月上旬に手術を終えて退院したばかりだ。肺がんはがんの中で最も死亡者数が多いとされ、手術数などで実績のある病院選びが大事な要素となってくる。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2017』では、年間手術数を独自調査し、手術数が多い上位病院をランキング形式で掲載。がんや心臓病、脳の病気など計30種類の治療法を取り上げているが、ここでは「肺がん手術」のランキングを最新治療とともに紹介する。

【ランキング22位からはこちら】

*  *  *

 肺がんは、がん細胞の形態によって「小細胞がん」と「非小細胞がん」に大別され、非小細胞がんにはいくつかの種類がある。肺がんの治療は「手術」「薬物治療」「放射線治療」が主で、がんの種類や病期(進行度)、患者の年齢や全身状態などによって治療法が選択される。原則として、手術の適応となるのは早期の非小細胞がんが主体で、進行がんや小細胞がんは薬物治療や放射線治療が中心となる。

 手術では、がんの位置や大きさ、周囲への広がり方(浸潤)などにより、肺の切除範囲を検討する。肺は、右側が三つ、左側が二つの「肺葉」に分かれており、現在の標準治療は、がんのある肺葉を切除する「肺葉切除」である。ただし、2ンチ以下の早期がんで転移がなく、悪性度が低いがんの場合は「区域切除」などの縮小手術を検討することもある。

 病院の実力を知る上で、「手術数は技術力の指標になる」と、倉敷中央病院の奥村典仁医師は話す。

「手術数の多さは経験豊富な医師のいる証しといえます。ひと言で肺がんといっても手術は千差万別です。手術経験が多いということは、症例ごとに最適な治療法を選択できる引き出しが多くあると考えていいでしょう」

 東京医科大学病院の池田徳彦医師も、「手術数は技術力の高さの目安」と認めつつ、「注意が必要なこともある」と話す。

「特定の病院に手術が必要な患者が集まる地域もあります。さらに、病院によって『手術可能な早期の肺がんが集まる』『進行がんが多い』など傾向が若干異なることもあるため、地域や病院の特徴も考慮する必要があります」

 また、区域切除は肺葉切除より技術的に難しいため、区域切除の件数が多いことも技術力の指標になると考えられる。

「ただし、現在の標準治療はあくまでも肺葉切除です。区域切除の数があまりに多い場合は、適応を広げすぎている可能性があり注意が必要です」(奥村医師)

 肺がんの治療においては、近年、とくに薬物治療が大きく進歩している。従来の抗がん剤に加え、特定の遺伝子変異のあるがんに有効な分子標的薬や免疫療法薬など、新薬の登場により生存期間が延びている。

 放射線治療では、がんにだけピンポイントで照射する体幹部定位放射線治療(SBRT)の普及により、早期の小さな肺がんでは手術と同等の効果が得られるともいわれている。

次のページ