阪神の伊藤隼太(左)とソフトバンクの吉村裕基(c)朝日新聞社
阪神の伊藤隼太(左)とソフトバンクの吉村裕基(c)朝日新聞社

 開幕から2ヵ月弱が経過した今年のプロ野球。レギュラーシーズンの約4分の1が終わった計算となるが、両リーグとも大きな連敗によって低迷しているチームが目立つのが現状だ。しかし、7月31日まではトレードおよび新規契約は可能となっている。日本ではアメリカに比べてシーズン中のトレードは少ないが、かつては西武から巨人に移籍した大久保博元が5月に移籍して翌月に月間MVPを受賞しチームの起爆剤となった例もある。そこで今回は、低迷する球団のトレード案を提示してみたい。なお、実現性を考えて各チームに提案する選手は他リーグの球団の選手とした。(※チーム、選手の成績は5月18日終了時点)

 現在12球団で最低勝率なのがロッテだ。9割近い勝率だったオープン戦の勢いは全く見られず、チーム打率、防御率ともに12球団でワーストの数字となっている。特に深刻なのがチーム打率2割を下回る打撃陣だ。18日にはWBCキューバ代表で俊足が持ち味のサントス獲得を発表したが、現在必要なのは長打が期待できる選手である。候補の一番手として挙げたいのが白根尚貴(DeNA)だ。一軍での実績はゼロだが、思い切りの良いバッティングと長打力には定評があり、昨年もイースタンで10本塁打、58打点をマークしている。ソフトバンク時代には育成選手契約の延長を断り、トライアウトを経てDeNAとの支配下契約を勝ち取ったという意欲も魅力だ。守備に難があるためセ・リーグではなかなか出番が回ってこないが、きっかけをつかめばブレイクする可能性は十分にあるだろう。チーム事情でくすぶっている選手としては伊藤隼太(阪神)もおすすめしたい。かつてのドラフト1位も糸井嘉男の加入、高山俊や中谷将大など若手の台頭もあり、外野の一角を奪うのは難しい状況だ。二軍では今年5割近い長打率を残しており、スタンドまで運ぶパワーを持ち合わせている。外野の守備が悪いというイメージが定着しているが、ファーストやDHを定着できていないロッテであれば十分に起用できる余地はあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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