マイ・マートの橋本琢万社長によると、顧客のほとんどがお年寄りで、中でも80代が多いという。「スーパーがないところはもちろん、近くにスーパーがあっても思うように歩けないと、ちょっとした距離がしんどい。家族に頼むのが負担になる場合もある」。

 今回営業に同行させてもらった上物部、千草という地域は、洲本市の中心部に近く、車を5分、10分走らせれば、すぐにスーパーやドラッグストアに行くことができる。しかし、車を持たず、歩くのがつらくなってきたお年寄りにとっては、それも遠いのだ。

 また、広いショッピングモールやスーパーだと、目的の商品を探して歩きまわるだけで疲れてしまう。その点、商品数を絞り、顧客の希望を品ぞろえに反映させていく移動スーパーは、利用しやすそうだ。橋本社長は「思った以上に反響があり、『うちにも来てほしい』というたくさんの方にお待ちいただいている状況です」と話す。

 経済産業省の調査では、14年10月時点で、買い物弱者は全国に約700万人いると推計されている。今後は高齢化により、農村や山間部だけでなく、都市部でも深刻化が予測される。とくし丸は、一つの解決モデルとなりうるのか。今後も注目したい。(ライター・南文枝)