当の久保は「決めるつもりだったので残念」とこの場面を振り返っただけで、多くを語らなかった。見ている方としてはスーパーなプレーだっただけに、もっと饒舌に話すと思っていたので拍子抜けした格好だ。

 そして、記者から試合中は「ここにパスが欲しいと手で示しても出てこなかったのはストレスになったのでは」という質問にも、「非常にいい連携を築けていますし、選択肢がたくさんあるので、僕に(パスが)出てこないだけ。それはそれでいいと思います」と“大人”の回答でかわしていた。

 さらに、ホンジュラスのフィジカルの強さを聞かれても、「今日はフィジカルで勝負する必要はなかったので、(相手の寄せにも)先手を取れていたため、(フィジカルで)勝負はしませんでした。後半は相手も疲れてきたのでドリブルで勝負しました」と冷静に振り返っていた。

 試合後のミックスゾーンで取材を受けた久保は、左右どちらかの足を小刻みにステップし、表情も硬かった。J1デビューを果たしたルヴァンカップやJ3のFC東京U-23での取材対応に比べると、明らかにいら立っていた。取材へのストレスなのか、それとも疲労が蓄積しているのかどうかは分からないものの、それでも久保は“異能の才”を今回のテストマッチで証明した。

 まずは今月20日から始まるU-20W杯で結果を残せるか。そして、もしも来年のロシアW杯のメンバーに入ってゲームに出られば、82年に北アイルランドのノーマン・ホワイトサイドのW杯最年少出場記録を更新することになる。期待が高まるばかりの15歳の選手だ。(現地取材=サッカージャーナリスト・六川亨)