名手・鳥谷もサードの守備には苦戦している(c)朝日新聞社
名手・鳥谷もサードの守備には苦戦している(c)朝日新聞社

 ゴールデンウイークの広島との首位攻防戦に3連勝し、セ・リーグの首位に立った阪神。金本知憲監督2年目となるシーズンは、チーム打率、同防御率がいずれもリーグ2位(5月11日現在)と安定した力で、混戦模様のセ・リーグでトップを走っている。

 得失点差もリーグ最高のプラス22と、首位にふさわしい数字を残しているが、唯一「不安材料」と言わざるを得ないデータがある。ここまで31失策と、12球団でもワーストを記録している守備面だ。

 敵地で広島と戦った開幕3連戦から、その傾向は現れていた。両チームともに2ケタ安打の打撃戦となった開幕戦は、10対6で勝利したが、3失策を記録した。6回表を終了して8対1と一方的な展開だったが、6回裏に金本監督の掲げる「超変革」の象徴的存在である北條のエラーからピンチを招き、ここから失点を重ねて、8回終了時には2点差まで追い上げられた。両チーム合わせて28四死球という記録的な乱戦となった第2戦に至っては、初回に4点を先制しながら、4失策にバッテリーミスも目立ち、延長10回の末、サヨナラ負け。翌日も敗れて開幕カードを負け越した。

 その後も失策数は増え続け、首位に立った現在でも、ディフェンス面はお世辞にも問題ないとはいえない状況だ。失策数の内訳を見てみると、北條の4失策が最多で、鳥谷、糸原が3失策、上本、キャンベル、原口が2失策と、レギュラークラスの内野手は、誰が守っても不安な現状だ。勝負強い打撃で、正捕手の座を確保しつつある梅野も2失策で、10暴投(リーグ4位)と合わせて、大事な場面でのバッテリーミスも目立つ。

 この状況を招いているのが、攻撃重視のメンバー構成だ。ショートでゴールデングラブ賞4度を誇る鳥谷がサードで起用され、打撃面では存在感を発揮しているものの、慣れないポジションでの守備では、ショートでの華麗な姿とは別人のようだ。捕手登録の原口も、今季はファーストでの出場がメインとなり、守備は不安が多い。鳥谷に代わりショートで起用されている北條は、チームワーストの失策数で、二遊間を組むルーキーの糸原と上本も、堅実とはいえないレベルだ。

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