プロ初勝利を挙げた佐々木千隼(ロッテ)=球団提供(c)朝日新聞社)
プロ初勝利を挙げた佐々木千隼(ロッテ)=球団提供(c)朝日新聞社)

 期待と不安を抱えながら迎えたプロ初のシーズンの1カ月――注目のルーキーはどのように過ごしたのか。その活躍をセ・パのリーグ別に振り返っていきたい。今回はパ・リーグ編だ。

 育成契約を除いて投手31人、野手13人が入団したパ・リーグ。4月を終えた時点で、投手陣では計9人、野手陣では計3人が1軍デビューを果たした。

 投手陣ではすでに3人がプロ初勝利を挙げた。そのうち、先発勝利は佐々木千隼(ロッテ)ただ一人。4月6日の日本ハム戦でプロ初登板初先発を果たすと、マリンスタジアム特有の強風の中で制球に苦しみ、計6四球と不満の残る内容ではあったが、悪いなりにも5回1失点にまとめる老練さを見せてプロ初勝利。お立ち台の上で「気持ちいい景色です」と初々しい笑みを浮かべた。その後、一度登録を抹消された後の4月20日の2度目の登板はソフトバンク打線を相手に7回を5安打1失点も黒星を喫し、ここまで2試合で1勝1敗、防御率1.50。チームが“歴史的貧打”にあえぐ中で低迷が続いているが、5月以降は佐々木自らが起爆剤となって悪い流れを変えてもらいたいところだ。

 その佐々木よりもチームの勝利に貢献しているのが、森原康平(楽天)である。5位指名ながら社会人野球で培ったタフさと経験、何より強気の投球で、4月までの全21試合中15試合に登板して1勝1敗、防御率0.63。9ホールドをマークし、ハーマン、松井裕樹へとつなぐ「勝利の方程式」の一角を担っている。同じく高梨雄平(楽天)もドラフト9位と下位指名ながら8試合に登板し、4月6日のソフトバンク戦ではプロ初勝利を挙げた。

 一方、好投しながらも勝ち星に恵まれなかったのが、山岡泰輔(オリックス)だ。プロデビューとなった4月13日のロッテ戦で6回3失点、続く23日のロッテ戦では8回2失点、さらに30日のソフトバンク戦では6回無失点といずれも先発投手として試合を作り、勝ち投手となってもおかしくなかった。だが、現状は0勝2敗と“お預け状態”が続いている。ただ防御率2.25と安定しており、チーム自体も好調なだけにプロ初勝利は時間の問題であろう。佐々木、高梨に加えて、中継ぎとして10試合に登板して、8ホールド&防御率0.90と驚異的なパフォーマンスで新セットアッパーに君臨するチームメイトの黒木優太(オリックス)とともに、激しい新人王バトルが勃発しそうな気配だ。

 野手陣では、源田壮亮(西武)、石井一成(日本ハム)が奮闘中。ともに堅実な守備を武器に即戦力と期待されていたが、そのディフェンス面だけでなく、源田が打率.286をマーク、石井が今年の新人1号アーチを放つなど、オフェンス面でもチームに貢献。今後の活躍次第では、前出の投手陣を押しのけて“№1ルーキー”の座を射止めることも可能だ。

 新人がにぎわいを見せているパ・リーグだが、その中で5球団が競合し、今年の目玉であった田中正義(ソフトバンク)は1軍未出場。春季キャンプ中から多くの問題を抱えて3月初旬には右肩違和感のためにリハビリ組へ。約1カ月半に渡ってノースロー調整を続けた末に、ようやく5月2日にネットスローを再開したというが、今後の1軍デビューへの道筋が固まった訳ではない。「10年に一人」、「日本球界を背負って立つ」とまで言われた剛腕のベールが脱がれる日を、多くのファンが心待ちにしている。(※打率などの成績は4月30日の試合終了時点)