世界の平均気温が少しずつ上がっている。それは温室効果ガスと関係があるようだ。いったいどんなものだろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員の石井徹先生の解説を紹介しよう。

■温暖化を止めるカギは化石燃料利用の削減

 地球の平均気温は約14度だ。大気中のCO2などの温室効果ガスが、太陽からの熱を地表にとどめてくれるからだ。もしなくなると、地上はマイナス19度になる。でも、今は逆に増えすぎたので、温暖化が心配されている。

 温室効果の約5割は水蒸気で、約2割がCO2だ。水蒸気を減らすのは難しいが、CO2なら可能だ。CO2は人間の活動から排出される温室効果ガスのうちの多くを占めていて、化石燃料の使用を減らせばいいからだ。

 18世紀半ばの産業革命から地球の平均気温はすでに1度上がっている。空気中のCO2濃度は、280ppm(0.028%)から400ppm(0.04%)に上がった。400ppmを超えたのは400万年ぶりのことだ。

 パリ協定では、温暖化の深刻な被害を避けるために、世界の気温上昇を2度未満にする、と決めた。温暖化の科学的な根拠となっている国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、2度未満にする目標を66%以上の確率で達成するには、430~480ppmにする必要があるとしている。毎年2ppmほど上がっているCO2濃度の増加を、40年後までにゼロにしなければならない。そうすると、地中で確認されている石炭や石油などの化石燃料のうち8割は燃やせない可能性がある。化石燃料を扱う会社にお金を投資しないようにする動きも出てきている。

 日本のCO2排出量は年間約12億トン。国別では中国、アメリカ、インド、ロシアに次ぐ5番目で、世界全体の約4%を占める。部門別(直接排出量)でみると、電力会社などが40%、メーカーなどが27%、自動車や電車などが16%、オフィスなどが6%、家庭が4%などとなっている。私たちは、それぞれの場所で省エネルギーや自然エネルギーの活用に努める必要がある。

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AERA dot.編集部
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