カン・アンドリュー・ハシモト/アメリカ・ウィスコンシン州出身。英会話教室や東京都内の小学校で英語を教えた経験を持つ。音声・映像コンテンツ制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。著書に『3語でできるおもてなし英会話』(DHC)ほか多数(撮影/写真部・長谷川唯)
カン・アンドリュー・ハシモト/アメリカ・ウィスコンシン州出身。英会話教室や東京都内の小学校で英語を教えた経験を持つ。音声・映像コンテンツ制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。著書に『3語でできるおもてなし英会話』(DHC)ほか多数(撮影/写真部・長谷川唯)

 英語のスピーキングに自信がない……という人は少なくない。しかし、日本人エイゴでもポイントを押さえれば十分思いは伝わる。現在発売中の『AERA English 2017 Spring&Summer』(朝日新聞出版)で、バイリンガルのカン・アンドリュー・ハシモトさんが、そのポイントを解説している。そのなかから、いくつか紹介しよう。

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 カン・アンドリュー・ハシモトさんはアメリカ生まれ。学生時代は日本とアメリカを行ったり来たりして育った。母語は英語だ。20歳から日本で音楽の仕事をスタート。その傍ら日本人に英語を教える機会も持ち、英語教材の映像制作、脚本執筆などの仕事にも20年以上、携わってきた。そんなカンさんが、昨年、『本当はちゃんと通じてる! 日本人エイゴ』(アルク)を上梓した。

「日本人は英語のスピーキングに自信がないようだけれど、大丈夫だってことを伝えたかった」

 カンさんが育った米・ウィスコンシン州は、スイスからの移民が多い土地。祖父母の代はフランス語を話す人が多く、フランス語訛りの英語を話す人が多かった。

「母語に影響された英語の発音をバカにするような感覚はないよ。だから、日本語訛りの英語だって、全然問題ない。僕と同じ感覚のアメリカ人は絶対に多いと思うよ」

 カンさんは、中学、高校で学ぶ英語の基礎があれば、会話では十分通じる、と続ける。

「アメリカ人は小さいころからスピーチやディベートの練習をさせられるけれど、話す上でいちばん大切なのは、言いたいことを短くシンプルにまとめることだって教わってきた。まわりくどい話し方よりも、中学英語の基礎だけを使ったシンプルな話し方は、アメリカ人にむしろ好まれるよ。教科書の表現はold-fashionedじゃないかっていう心配は無用。どんな場合でも使える、スタンダードなものばかりだから」

 ポイントは、完璧を求めないこと。

「90点は“惜しい”じゃなくて、“Well done!”だと僕は言いたい。ネイティブスピーカーじゃない人が完璧に話せないのは当然だって!」

 スピーキングは、相手に推測してもらえる部分も十分に利用すればいい、とカンさん。

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