昨年の末に国会を通った「自転車活用推進法」という法律が、今年6月から施行される。自転車活用推進法って何だろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、自転車ツーキニスト・疋田智さんの解説を紹介しよう。

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「自転車活用推進法」は、自転車の「活用」を「推し進める」法律? その通り。これからの日本は、国として「もっと自転車を使いましょう」という方向に動くんだ。ではなぜ今さら自転車を? それは自転車こそが、(1)環境に優しくて(二酸化炭素を出さない)、(2)健康によくて(自動車などを使うより運動になる)、(3)交通渋滞も起こさず、(4)災害時の活用が期待でき、(5)交通死亡事故が減少する、とされるからなんだ。

 だからアメリカやヨーロッパ(特にオランダやデンマークなど)では、街中が自転車だらけというところがたくさんある。日本はむしろ遅れているくらいなんだよ。

 日本では、自転車にまつわる法律は、これまで規制するものばかりだった(二人乗りはいけません、とか)。しかし、この法律は「よりよく自転車を使うためにどうするか」を定めたものだ。罰則などはない。

 個人に対してというより、主に市町村など地方自治体に対して「自転車専用レーンを作りなさい」「シェアサイクルを導入しなさい」「自転車イベントを開催しなさい」などと指示して、自転車をよりよく使うための施設(インフラ)などを充実させることを目的としている。

 だから、今後の日本で自転車が走りやすくなることは間違いない。自転車専用のレーンもたくさんできるだろうし、レーンの上に透明なアクリル屋根が作られて、雨の日でも楽々、なんてことになるかもしれない。

 ただ、現在の日本では、自転車に乗る側が必ずしもルールとマナーを守っているとは言いがたいのも事実だ。たとえば右側通行、信号無視、併走、夜間無灯火など、原則アウトだ。これからは乗る側もルールをきちんと守らなくてはならない。でないと、せっかくできたこの法律も「宝の持ち腐れ」になりかねないからね。(解説/自転車ツーキニスト・疋田智)

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AERA dot.編集部
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