文部科学省の元局長が早稲田大学に教授として再就職していた問題。そもそも天下りは何が問題なのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・氏岡真弓さんの解説を紹介しよう。

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 文部科学省(文科省)で、退職した役人を天下りさせる省ぐるみのしくみが明らかになった。きっかけは、大学教育を担当していた前の局長が、早稲田大学の教授として再び就職したケースが問題になったことだ。文科省が3月末にまとめた最終報告によると、法律違反の事例は62件あり、43人が停職などの処分を受けた。なかでも、トップの事務次官を経験した3人が在任中に違反に手を染めていたこともわかった。

 中央省庁の役人は、えらくなるコースから外れたり、同じ時期に役所に入った人が事務次官になって自分がなる望みがなくなったりすると、60歳で定年になる前に退職し、企業などに再び就職することが多い。

 再就職することがすべてダメではないが、受け入れ先が役所とかかわりのあるところだと、就職させてくれたところへのチェックが甘くなったり、有利な扱いをしたりといったことが行われ、公平でなくなるおそれがある。

 これまでに明らかになった旧防衛施設庁や国土交通省などのケースでも、OBが再就職した先に優先して役所の仕事をさせるなどの事実が重ねて問題になってきた。

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AERA dot.編集部
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