最近の平野の卓球でもうひとつ印象的なのが、切れ味鋭いバックハンドだ。3連覇中の石川佳純を破って史上最年少優勝を果たした今年1月の全日本選手権以降、球威と角度のあるバックハンドのドライブボールが面白いように決まる。アジア選手権や韓国オープンでも平野の打球に何度もラケットを弾かれ、首をかしげる外国人選手が何人もいた。もともとバックハンドが得意だが、フォアハンド同様、腕で打つのではなく低重心にして足腰を使い、さらにバックハンドの場合は右肩の肩甲骨をしっかり入れて打つことを覚えたという。

 これに加え、3歳半から小学校卒業まで卓球を指導した母・真理子は娘の技術の向上について、「ミドルの処理がうまくなった」と指摘する。卓球でいうミドルとはボディー狙いのこと。ちょうどウエアのパンツの右ポケットあたりに来るボールは、一瞬、フォアハンドで打つかバックハンドで打つか迷うからだ。今の平野はそれを瞬時に判断し、素早く反応して打ち返す。

「左右に振り回すラリーに注目が集まりがちですが、トップ選手はミドルの処理がうまいものです」(真理子さん)

 連続で攻める平野の超攻撃型の卓球は他にも複数の要素が備わったことで生み出された。(文・高樹ミナ)