核シェルターの内観の一例。中央の機械は汚染された空気を換気する装置 (C)織部精機製作所
核シェルターの内観の一例。中央の機械は汚染された空気を換気する装置 (C)織部精機製作所

 4月25日に予定されている北朝鮮の軍創建85周年の行事を目の前に控え、日本に向けてミサイルが発射されるのではないかと、「核シェルター」なるものの売上げが、急増している。

「普段の30倍くらいの問い合わせがあります。いつもは年間5、6件の契約があればいいのですが、4月中だけでそれ以上の契約が決まっています」

 そう語るのは核シェルターを販売する「織部精機製作所」(京都府)の担当者。

「例年お買い求めになる方々は『備えあれば憂い無し』といった姿勢で買われるケースが多かったのですが、北朝鮮の動向がニュースで盛んに取り上げられるようになった3月末からは『何が起きてもおかしくない』と怯えた調子のお客様が増えています。明らかに北朝鮮の核ミサイル対策です」(同)

 織部精機製作所では4月19日にも2件の契約が決まったばかり。20人用の地下核シェルター(工事費を含め5000万円)と6人用の地下核シェルター(工事費を含め2500万円)で、前者を購入したのは企業経営者。自社ビルの駐車場の地下に設置するという。

 だが、核シェルターの完成までは時間がかかる。織部精機製作所が販売するシェルターの場合、「役所への申請、施工を含めると実際にご利用いただけるまで4ヵ月半かかる」(同)という。

 そんなに待てない、という人々には空気清浄機型の核シェルターが売れている。これは、住居の一室に設置することでその部屋を簡易的なシェルターにするための装置。
 地下シェルターのように爆風や衝撃は防げないが、死の灰に汚染された空気から身を守ることができるという。これを販売する「株式会社シェルター」(大阪府)の担当者はいう。

「もうてんやわんやです。この1ヵ月で300件以上問い合わせがありました。普段では考えられないこと。契約も次々決まり、すでに在庫がありません。通常スイスやイスラエルなどから船便で2、3ヵ月かけて輸入しているのですが、経費がかさんでも、空輸することを検討しています」

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