WBCでの活躍をレギュラーシーズンに繋げたい巨人・小林誠司捕手=2017年2月1日、山口裕起撮影 (c)朝日新聞社
WBCでの活躍をレギュラーシーズンに繋げたい巨人・小林誠司捕手=2017年2月1日、山口裕起撮影 (c)朝日新聞社

 3年ぶりのV奪回へ、オフに大型補強を行った巨人。様変わりしたスタメンの中に、キーマンと言われる生え抜き選手がいる。プロ4年目、正捕手定着が期待されている小林誠司だ。

 昨季は129試合に先発出場して12球団の捕手で唯一、規定打席到達を果たした小林。その存在が一躍クローズアップされたのが、シーズン前に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だった。侍ジャパンの正捕手候補だった楽天の嶋基宏が故障で離脱した後、小久保裕紀監督が正捕手に指名したのが小林だった。

 WBCでは、準決勝のアメリカ戦まで全7試合で先発マスクをかぶった。小久保監督は、ディフェンス面の安定感を評価しての抜擢だったが、攻撃面でも意外性のある打撃を随所で見せ、7試合でチームトップの打率.450をマークし、1本塁打、6打点の活躍でラッキーボーイ的な存在となった。

 広陵高校時代には、昨季最多勝のタイトルを獲得した野村祐輔(広島)とバッテリーを組み、甲子園で準優勝。その後は同志社大学、社会人の日本生命を経て、2013年ドラフト1位で巨人に入団した。2000年代以降、長らく巨人の正捕手を務めてきた阿部慎之助が故障などで捕手としてのフル出場が難しくなり、小林は次代の正捕手候補と大きな期待を受けた。プロ1年目は、全試合一軍に帯同して63試合に出場。2年目は二軍暮らしも長かったが、70試合でマスクをかぶった。そして3年目の昨季、阿部が一塁手に専念したこともあり、1年間正捕手の座を任された。小林の捕手としての最大の武器が肩だ。相手走者に盗まれた、というタイミングでも、矢のような送球でアウトにするシーンがしばしば見られる。球界ナンバーワンの評価も受けるその強肩ぶりは、昨季リーグトップの盗塁阻止率(.356)を記録したことで証明された。

 数字だけを見れば、ここまで順調に見える小林だが、課題も多かった。まずは打撃で、打率は1年目の.255から2年目.226、3年目.204と、年々低下している。守備面でも、ある程度の経験が必要なリード面などのインサイドワークはともかく、昨季は基本であるキャッチングを、同僚のマイコラスから試合中に非難された。侍ジャパンでも、合宿中にブルペンで受ける際にミット音が鳴らないと注意を受け、強化試合ではソフトバンクの千賀滉大のフォークボールを何度も後逸して酷評されたこともあった。

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