いつもながめている美しい月。その月がいつ、どのようにしてできたのか、考えたことがあるかな? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された「月の起源」に関する興味深い新説を紹介しよう!

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 私たちの住む地球は、およそ46億年前にできた。月も、同じころにできたと考えられている。月がどのようにしてできたかについては、いくつかの説が唱えられてきたが、現在もっとも有力とされているのがジャイアント・インパクト(巨大衝突)説だ。

 これは、できかけの地球に、火星ほどの大きさの原始惑星(仮想的に「テイア」と名付けられている)が衝突したというもの。衝突したテイアと地球の一部は粉々になって宇宙空間に飛び散り、土星の輪のような円盤をなしたが、やがて破片同士が引力で引き合い、合体して月ができたのだという。

 そしてこの1月、イスラエルのワイツマン科学研究所などの研究チームが、新しい学説を発表して話題を呼んでいる。原始地球に原始惑星が衝突したのは1回ではなく、何度も何度も衝突が起こった結果、月ができたというものだ。

■ジャイアント・インパクト説の弱点

 ジャイアント・インパクト説のように、二つの天体が衝突して月ができたのだとすると、月は地球とテイア両方の破片が集まってできたと考えられる。ところが、40年以上前のアメリカのアポロ計画で宇宙飛行士が月から採ってきた石を調べた結果、月をつくっている物質は地球とほぼ同じことがわかった。

 もう少し詳しくいうと、原始惑星が原始地球に衝突するときの速度やぶつかる角度などの違いによって、月を構成する地球由来の物質と、惑星由来の物質の割合はさまざまに変わるのだという。ただし、1回の巨大衝突では、よほど特殊な条件がそろわないと、ほぼ地球由来の物質だけで月ができるとは考えられないのだそうだ。

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上浪春海
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