爆破被害を受けたドルトムントのチームバス(写真:Getty Images)
爆破被害を受けたドルトムントのチームバス(写真:Getty Images)

 サッカー日本代表・香川真司が所属するドイツ・ドルトムントが4月11日(日本時間12日)、イスラム過激派が関与したとみられる爆発事件に巻き込まれた。世界で最も人気のあるスポーツのサッカーは、これまでに度々テロリストたちの標的にされてきた。これまでに世界中で起こった事件の数々を振り返ってみた。

 古くは1994年、北アイルランドのLoughinislandという小さな村のパブに、プロテスタント系の右派民兵組織アルスター義勇軍が押し入り、W杯のアイルランド戦を観戦していたカトリック系の人々にライフルを乱射する事件が起きた。

 2002年には、スペインのバスク地方の分離独立を目指す民族組織が、チャンピオンズリーグ準決勝のレアル・マドリード対バルセロナ(以上スペイン)戦のおよそ4時間前に、会場のサンティアゴ・ベルナベウ付近で20キロの爆薬を積んだ車を爆発させた。死者は出なかったものの、多くの負傷者を出し、周囲のビルの窓や天井などが破損している。

 また2010年には、アフリカ・ネーションズカップに出場するトーゴ代表を乗せたバスが、開催地のアンゴラの飛び地カビンダを走っていたところ、当地のゲリラ組織にマシンガンで襲撃され、運転手らが死亡。選手、スタッフらが重軽傷を負った。当時、イングランド・プレミアリーグで活躍していたエマニュエル・アデバヨールは、このショックにより代表を引退している(のちに復帰)。

 社会の分断が深まる近年は、サッカー選手を直接狙ったものではなくとも、多くの人が集まるスタジアムやその周辺で起こるテロが増加している。

 2015年には、フランス対ドイツの親善試合が行われている最中に、スタッド・ド・フランス周辺で自爆テロが起こった。同時にパリではライブハウスや街頭で銃撃テロが起こり、多くの死者、負傷者を出す、フランス史上最悪のテロとなった。(文・井川洋一)