柴田勝頼選手 (c)朝日新聞社
柴田勝頼選手 (c)朝日新聞社

 プロレスラーの柴田勝頼(37)が9日、東京・両国国技館で行われたIWGPヘビー級選手権試合で王者オカダ・カズチカ(29)との試合後、救急搬送され、都内の病院で硬膜下血腫の緊急手術を受けていたことが分かった。おもに頭部外傷をきっかけに起こるが症状だが、加齢や飲酒が原因となる慢性硬膜下血腫も、頭痛や吐き気、片麻痺などの症状を引き起こすことがあり、要注意である。週刊朝日ムック『新「名医」の最新治療2017』(朝日新聞出版)では、その硬膜下血腫の症状について医師に聞いた。

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 硬膜下血腫には急性と慢性がある。急性は外傷の衝撃の直後に脳の表面の太い血管が切れてどんどん出血する。さらに脳が圧迫されて血液の循環が悪化し、意識の低下などが起こる。緊急の開頭手術が必要になる場合も多い。柴田の場合は、このケースだろう。

 これに対して慢性硬膜下血腫は外傷をきっかけに、硬膜と脳の間に被膜ができる。被膜にできた新生血管通常は存在せず、新たに発生する異常な血管)からじわじわと血液がしみだし、たまって血腫となる。

「大きな血腫になるまでに時間がかかるため、症状が出るのもゆっくりです。頭部外傷の直後、病院で『異常はない』と言われても、しばらくは経過観察をしてください」(埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科運営責任者・栗田浩樹医師)

 なお、頭部外傷でなぜ脳に被膜ができるのかは明らかになっていない。ただし、慢性硬膜下血腫は子どもにはめったに起こらず、高齢者やアルコール多飲者に多いことから、脳の萎縮と何かしら関連していると推察されている。

「豆腐が容器いっぱいに入っている場合は容器を振っても豆腐はほとんど動きません。しかし豆腐が小さいと容器の中で位置がずれたり、豆腐がくずれたりします。高齢者やお酒を多く飲む人は、脳が萎縮していることが多く、頭蓋骨と脳の間にすき間ができてしまうため、外傷によって脳が動きやすい。これが慢性硬膜下血腫の発症のきっかけになっていると考えられます」(同)

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