各自によって低迷の要因はさまざまであろうが、過去の事例や現状の数字を並べると、やはり死闘による肉体的、精神的な疲労に加え、投球の組み立て方や“動く、動かない”の違いなど、WBCによる「後遺症」に苦しんでいると言わざるを得ない。改めてWBC組以外の面々の成績を見ても、打率5割超えの4人に加えて阿部慎之助(巨人)が4本塁打、糸井嘉男(阪神)が3本塁打とアーチを連発し、故障によってWBCを辞退した今宮健太(ソフトバンク)が打率.375、柳田悠岐(ソフトバンク)も打率.350で打率10傑入り。そして大谷翔平日本ハム)も打率.478、2本塁打の好スタートを切った。このままだと次回大会では、調整を理由に辞退を考える選手が続出しそうな危険性もある。

 一方、投手陣も明暗が分かれた。菅野智之(巨人)、則本昂大(楽天)、武田翔太(ソフトバンク)の3人は白星スタートを切ったが、石川歩(ロッテ)、千賀滉大(ソフトバンク)、藤浪晋太郎(阪神)が勝てず。特にWBCで名を上げた千賀が4回7失点と炎上し、藤浪は5回2失点ながら計9四死球の大乱調だった。

 救援陣では、秋吉亮(ヤクルト)、松井裕樹(楽天)は順調なスタートを切ったが、宮西尚生(日本ハム)、平野佳寿(オリックス)が痛打を浴び、岡田俊哉(中日)は調整不足によって早くも2軍降格を命じられた。まだ始まったばかりではあるが、各投手にとって心配を抱えながらの初登板であったことは確か。今後への影響が心配される。

 もちろん、マイナス面ばかりではない。大舞台での経験は必ず血肉となっているはずで、ファンからの声援もこれまで以上に大きい。2013年の前回大会が行われた直後のシーズンには、田中将大(当時楽天)が24連勝という快挙を成し遂げたという事例もある。問われるのは選手の地力。気持ちの切り替えも必要だろう。そして、日本野球の発展のためには、WBC組の奮闘が何よりも求められる。