「中学生から寮生活?」「子どもがかわいそう……」最初はそう思うかもしれません。とはいえ一人っ子が増えている昨今、親はつい子どもを過保護にしがちです。寮は集団生活。時にはがまんしたり譲り合ったりすることで、自立心が生まれます。また、友達との濃密な関わりを通して、子どもは驚くほど成長を遂げることがあるようです。『AERA with Kids春号』(朝日新聞出版)では、そんな寮のある中高一貫校を取材しています。

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 今、寮のある学校が注目されています。選択肢がたくさんあるなかで、なぜ、あえて寮なのでしょうか。安田教育研究所の安田理代表は、次のように話します。

「勉強に対する期待です。寮は勉強の時間が設けられているため、学習習慣が身につきます。先生が勉強の面倒を見てくれるので、学習効果も高いです」(安田代表)

 ほとんどの寮が、夕方から夜にかけて勉強時間を設置。寮生と一緒に勉強することで、やる気も湧いてくるようです。難関大へめざましい進学実績を上げている学校もあります。

 北海道の北嶺中・高等学校もそんな学校のひとつ。

 生徒数は1学年約120名という小規模な学校ながら、今年度は東大10名、国立・私立合わせた医学部に39名の合格者を出した名門校。校長の谷地田穣先生は、寮の強みは「団結力」と強調します。仲間と一緒だからこそ、ハードな勉強にも耐えられるし、お互い切磋琢磨(せっさたくま)し合える。親子関係だけでは生み出せない、集団ならではのメリットがあるようです。

 また、今年度、延べ2千人以上の応募を集め、話題となったのは、長野県にある、佐久長聖中学・高等学校。校長の佐藤康先生は、都内の難関私立・渋谷教育学園渋谷中・高等学校で教鞭をとった名物教師。佐藤先生も寮生活のメリットとして「団結力」を挙げます。「寮はいわば社会の縮図。多くの友達と寝食を共にすることで、人の痛みがわかり、協調性を養うことができます」。

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AERA dot.編集部
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