右ひじのトミー・ジョン手術から昨年5月に復帰したダルビッシュは、以降17先発で7勝5敗、防御率3.41とまずまずの成績をマークした。チェン記者が述べていた通り、真っ直ぐの球速は過去最高で、スケールアップすら感じさせた。とは言っても、復帰後はまだ1年を通じて働けると証明したわけではない。昨季最後の登板となったプレーオフの地区シリーズでは5回5失点と打ち込まれ、残念な形でシーズンを終えることになった。

 トミー・ジョン手術を受けた投手が完調に戻るのは一般的に復帰2年目と言われるだけに、今年はもう待ったなし。17年はシーズンを通じ、レンジャーズ投手陣を牽引しなければいけない立場にいると言って良い。

 時を同じくして、ダルビッシュが11年12月にレンジャーズと結んだ6年5600万ドル(プラス出来高)の契約は満了を迎える。1年後にはFA戦線の目玉になるとの推測が出ているが、すべては今シーズンにハイレベルで働けることを証明した場合の話。契約面で考えても、ダルビッシュにとって、今季はターニングポイントと言っても大げさでない大事なシーズンなのである。

 勝負の2017年――。故障前を上回る球威の速球を投げ、見ている者を魅了し、来オフに総額1億ドル以上の契約に繋げるか。あるいは故障の影響を感じさせる形で停滞してしまうか。どちらにしても、スリリングなシーズンになることだろう。しなやかな右腕から導き出される投球の行方に、今季を通じて熱い視線が注がれ続けることは間違いあるまい。(文・杉浦大介)