3年連続の開幕投手としてレイズ戦へ臨むヤンキース田中将大(写真:Getty Images)
3年連続の開幕投手としてレイズ戦へ臨むヤンキース田中将大(写真:Getty Images)

「春季キャンプでの出来は素晴らしかった。投球の方法を知っている投手。感覚に優れ、すべての球を制球良く投げ込める。球速を変え、高低、イン&アウトに散らしてくる。スプリッターが良いとき、打者は彼に触れられない」

 3月31日、ニューヨーク・デイリーニューズに掲載された2017年のMLB開幕特集で、ヤンキースの田中将大に関してそんな記述があった。あるメジャーリーグスカウトのコメントだという。冒頭の一文を除けば、ほぼすべて田中に対する典型的な評価ではある。今春の見事な仕上がりを見せられた後で、これらの賞賛はより説得力を持って響いてくるのは事実だ。

 オープン戦では最初の5先発で18回2/3を無失点。3月28日の最後の登板でこそついに失点したが、それでも23回2/3で9安打、2失点(自責点1)、28奪三振、5四球、防御率0.38と完璧な成績だった。

 キャンプ中に実際にその投球を見たメディア、関係者の評判も上々。これほど好調なら、3年連続の開幕戦登板は当然だろう。今季は不安が囁かれるヤンキース先発投手陣の中で、田中は最高の状態で開幕を迎えられそうである。

 1年目の前半に11勝1敗、防御率1.99と怪物的なスタートを切って以降、田中は常に懐疑的な視線に晒されてきた感がある。右ひじの不安、中4日への対応、一発病……etc。しかし、ア・リーグ防御率のタイトルを最後まで争った昨季、懸念材料をほぼすべて払拭してみせた。

 そして、28歳という脂が乗った年齢で迎える今季。様々なことが結実し、これまでの集大成と言えるようなシーズンを過ごす可能性は高いのではないか。

 評価が高まるのと時を同じくして、別の理由で注目度も跳ね上がっている。4年目である今季終了後、田中は2014年1月にヤンキースから受け取った7年1億5500万ドル契約をオプトアウト(契約破棄条項)する権利を得る。田中の意思はわかりかねるが、結果的に今年がニューヨークでの最後の1年になっても不思議はない。そんな背景もあり、背番号19は今季のヤンキースでは最大級の注目選手であり続けるはずである。

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