対する報徳学園(兵庫)はここまで最も危なげなく勝ち進んできた。大きなプラス材料がエース西垣雅矢の成長だ。秋までは130km台前半だったストレートが140kmに迫るようになり、低めにボールを集めるコントロールも安定している。ここまで1本も長打を許しておらず、安定感は抜群だ。履正社と違い、他の3投手もマウンドを経験していることも大きい。そして攻守の要として存在感を発揮しているのが捕手で四番の篠原翔太だ。2回戦では見事な送球で盗塁を二つ阻止し、準々決勝では3本の長打を放つ活躍を見せた。篠原の前を打つ小園海斗、永山裕真、片岡心の三人も俊足で、足を使った攻撃ができるのも強みだ。今大会限りで勇退する永田裕治監督を優勝で送り出そうというチームの士気も高い。序盤で履正社投手陣を打ち崩せば、十分に勝機は見えてくるだろう。

 秀岳館(本)は昨年春、夏に続いて3季連続でベスト4進出となった。昨年のチームに比べると打線の破壊力は少し落ちるというのが大会前の評判だったが、ここまで3試合で23得点としっかり打てるチームに仕上げてきた。主砲の広部就平がここまでシングルヒット3本で打点0ともうひとつ結果が出ていないのは気がかりだが、その前を打つ木本凌雅が準々決勝でホームランを含む2安打3打点と調子を上げてきたのは心強い。そして川端健斗、田浦文丸のサウスポー二枚看板も強力だ。特に川端は走者を背負っても球威が全く落ちず、奪三振率も高い。これまでの順番でいくと田浦が先発する可能性が高いが、後ろに川端が控えているということは大きなアドバンテージになるだろう。

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