ダブルボランチとして結果を出せなかった酒井高(撮影・六川則夫)
ダブルボランチとして結果を出せなかった酒井高(撮影・六川則夫)

 ロシアW杯アジア最終予選が3月28日に行われ、サッカー日本代表は埼玉スタジアムでタイ代表と対戦した。久保の1ゴール2アシストの活躍と、終盤にはGK川島がPKをストップする好セーブで4-0と大勝。この結果、サウジアラビアを得失点差で上回り、B組首位に浮上した。

 負傷した今野の代わりに、ハリルホジッチ監督は酒井高を代表では初めてとなるボランチに起用した。

 試合は前半8分、森重のロングパスを受けた久保がドリブル突破からクロスを入れると、ゴール中央で香川が相手DFをかわして先制点を流し込む。

 さらに、19分には森重がつないだボールを再び久保が狙い澄ましたクロス。これをニアサイドで岡崎がヘッドで決めてリードを2点差に広げた。久保は後半12分にも、スローインを受けるとカットインから左足で2試合連続となる豪快なシュートを決めた。

 UAE戦で大迫が負傷離脱したが、その穴を補って余りある久保の活躍。代表4試合目で早くも日本攻撃陣の主力となったのは、この試合でポジティブな収穫として特筆していいだろう。久保は攻撃だけでなく、守備でも自陣まで戻って貢献していた。原口は攻撃面でこそ目立った活躍をみせられなかったが、久保と同様に豊富な運動量でサイドを上下動して守備に奔走した。

 岡崎、香川、吉田がゴールを決めたのは昨年6月3日のブルガリア戦以来のこと。こちらもポジティブな収穫ととらえていいだろう。吉田が決めたFKからのゴールは、ホームのUAE戦で本田が決めて以来2点目だけに、得点のバリエーションが増えたことは歓迎したい。試合終盤に与えたPKはGK川島がストップ。サウジアラビアやオーストラリアとの得失点差の争いを考えると、このプレーが持つ意味が後々重要になってくるかもしれない。

 ところが、2-0とリードしてから、日本はなかなかタイのゴール前まで攻め込むことができなかった。森重はパスの出しどころを探したり、ドリブルでボールを運んだりしたものの、パスミスが目立ち、カウンターから危ないシーンを招いていた。

 その原因は、森重ではなく、山口と酒井高の“ダブルボランチ”にあった。2人は守備では奮闘していた。だが、攻撃については、森重や吉田が2人にボールを預けてもビルドアップすることができずにバックパスがほとんどだった。SBの酒井宏や長友が高い位置に上がると、ボランチの山口と酒井高はサイドに張って、SBのカバーリングしているため、トップ下の香川とは距離が遠くなり、攻撃を停滞させた。

 ハリルホジッチ監督も、試合後の会見で、ダブルボランチの機能不全を認めた。

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