対するアメリカ。世界ランクは日本に次ぐ2位。今大会はメジャーの一流選手たちが次々と参戦を決めたおかげでドリームチームとも言える陣容が揃った。だが、ここまでは苦戦の連続で、1次ラウンドでドミニカ共和国(●5対7)、2次ラウンドではプエルトリコ(●5対6)にそれぞれ敗戦。それでも、どちらのラウンドも後がなくなった第3戦で勝利して勝ち上がってきた。今大会のチーム打率もプエルトリコの打率.326に対して、アメリカは.238で、防御率もプエルトリコの2.29に劣る2.47。その中で、準決勝・日本戦でも見せた勝負強さでしぶとく勝ち上がってきた。

 選手個々を見ても、クロフォード(ジャイアンツ)が21打数9安打の打率.429と好調だが、それ以外は多くが打率2割台。2年連続ナ・リーグ2冠王で今チームの4番を務めるアレナド(ロッキーズ)に至っては、直近の2試合続けて無安打だったこともあって計7試合で26打数3安打の打率.115と低迷している。打線の調子が上がらない点を考えても、決勝でも投手陣の出来が大きな鍵を握るだろう。2次ラウンドでのプエルトリコ戦では初回に先発のストローマン(ブルージェイズ)が4失点。勝利のためにはロースコアの展開に持ち込みたいところ。日本戦同様に早いイニングから各球団の守護神を次々と投入する継投策が予想される。

 勢い的にはプエルトリコが上だろうが、アメリカには自国開催のアドバンテージがある。過去3大会ではいずれも準決勝までに敗れており、今回が初の決勝進出。戴冠を前に、チーム内だけでなく、これまで決して大きな関心を寄せていたとは言えない地元ファンの“熱”も加わるはず。優れた技術、体力を持つ一流の男たちによる国の威信をかけた戦いは、どのスポーツにおいても面白い。敗戦に肩を落とした我々日本人も、たどり着けなかった頂上決戦から得るものは、必ずあるはずだ。