所属クラブで出場機会がないものの日本代表に召集され続けている本田圭佑。(写真:Getty Images)
所属クラブで出場機会がないものの日本代表に召集され続けている本田圭佑。(写真:Getty Images)

 2018ロシアW杯アジア最終予選(3月23日UAE戦/アルアイン、28日タイ戦/埼玉)に臨む、日本代表メンバーが発表された。

 日本代表の試合が行われるのは、昨年11月以来およそ4カ月ぶりのこと。だが、初めて招集されるような新戦力の名前はなく、本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司などの海外組を中心に、いわば常連が順当に名を連ねた形である。

 そんななかで目を引くのは、ハリルホジッチ監督になってからは初めて日本代表に招集されるふたりの選手、34歳の今野泰幸、30歳の高萩洋次郎である。

 現在の日本代表には2010年W杯を戦った選手が少なくないなど、世代交代の遅れが指摘されている。にもかかわらず、積極的な若手の起用が図られるどころか、彼らが加わったことで平均年齢は上がり、さらに高齢化が進む結果となった。

 今回の日本代表には25名が選ばれているが、今年30歳を迎える1987年以前に生まれた選手が11名と半数近い。逆に、本来であればもっと勢力を拡大してほしいリオ世代(昨年のリオデジャネイロ五輪に出場した年代の選手)はわずか3名にとどまる。

 日本代表における世代交代の遅れは、解消に向かうどころか、ますます症状が重篤になりつつある。

 だが、年齢構成の問題にひとまず目をつぶれば、今回の日本代表は、ハリルホジッチ監督らしさが色濃く表れた編成だと言えるだろう。

 ハリルホジッチ監督はインテンシティ(プレー強度)という言葉を用い、戦う姿勢を強く求める。振り返ってみると、ハリルホジッチ監督が率いた2014年ワールドカップ当時のアルジェリア代表も、闘争心あふれる戦いが持ち味で、優勝したドイツを土俵際まで追いつめた実績を持つ。それに通じる姿勢が、現在の日本代表にもはっきりと表れているわけだ。

 象徴的なのが、今野の選出である。

 最近のJ1を見ていると、今野の充実ぶりは目を見張るものがあり、なかでも5日に行われたJ1第2節の柏レイソル戦でのプレーは出色だった。

 今野はボール保持者に対するアプローチの速さ、ボールを奪い取る強さで柏の選手を圧倒し、しかも、ただボールを奪うだけでなく、奪った勢いを攻撃の推進力に変えることもできていた。鬼気迫る、と表現してもいいほどに、今野の戦う姿勢は際立っていた。

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