バンデンハーク攻略のカギを握る“グリーンライト”。前回大会はこの作戦が裏目に出たが…。(写真:Getty Images)
バンデンハーク攻略のカギを握る“グリーンライト”。前回大会はこの作戦が裏目に出たが…。(写真:Getty Images)

 第4回WBCの1次ラウンドが終了し、日本は3戦全勝でB組を1位突破。世界一奪還へ向けて好スタートを切ったが、休む間もなく3月12日からは2次ラウンドが始まる。1次ラウンドを振り返りながら、オランダ、キューバ、イスラエルと対戦する3試合をどう戦うべきかを考察したい。

 1次ラウンドの3試合で22得点8失点。大会開幕前に多くの不安要素を指摘されていた小久保ジャパンだが、始まってみれば走・攻・守で歯車がガッチリと噛み合い、見事な戦いぶりで3連勝を決めた。

 攻撃面を振り返ると、1次ラウンド3試合でチーム打率.303、6本塁打での22得点。「正直、これだけホームランが出るとは思っていなくて少し想定外」と小久保裕紀監督。特に4番・筒香嘉智(DeNA)、5番・中田翔日本ハム)の「打つべき人」がともに2本塁打を放っていることはチーム全体に大きな自信と勇気を与えている。さらに松田宣浩(ソフトバンク)が11打数6安打の打率.545で、小林誠司(巨人)も送りバントを3つ決める中で本塁打も放って計6打数3安打の打率.500。下位打線の好調が打線全体の繋がりを生んでいる。

 次に守備面。投手陣は3試合27イニングで被安打21、被本塁打2での8失点。「投手陣に形が見えてきた。しっかりといい状態になったというのが一番の収穫」と小久保監督。問題は誰が“抑え”なのかという点。第1戦、第2戦は牧田和久(西武)が最後に登板したが、第3戦は秋吉亮(ヤクルト)が最終回を締めた。牧田を“休ませた”のならいいが、日替わりの場当たり的な継投ならば不安が募る。ブルペンの役割分担をしっかりと伝えた上で試合に臨まなければ、プレミア12の二の舞になる恐れもある。

 大きな収穫は“正捕手”小林の成長だろう。「肩の強さは誰もが認めるところだったと思うんですけど、昨年の強化試合からの彼のキャッチャーとしての振る舞いを含めて、彼を中心で行こうというところで落ち着いた」と小久保監督。当初は第3捕手とみられていたが、堂々たるリードで投手陣の長所をうまく引き出し、強肩でもアピール。大会前は「正捕手不在」、「チームの穴」と揶揄されていた部分だっただけに、小林の活躍は今後へ向けても非常に心強い。

 そして迎える2次ラウンド。12日にオランダ、14日にキューバ、15日にイスラエルと対戦する。1次ラウンド同様に第1戦で勝利すれば、残り2戦で普段通りの戦いができるが、逆に黒星スタートとなれば一気に土俵際に追い込まれる。その意味でも初戦の重要性は1次ラウンドよりも大きい。

 勝負のカギは、球数制限が65球から80球に増える先発投手の出来。現状、1次ラウンドと同様、第1戦で石川歩(ロッテ)、第2戦で菅野智之(巨人)、第3戦で武田翔太(ソフトバンク)の先発が濃厚だが、1次ラウンドで“第2先発”で起用された則本昂大(楽天)、千賀滉大(ソフトバンク)、藤浪晋太郎(阪神)の3人を先発させることも十分に考えられる。

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