2人とは対照的に、キャンプから順調に評価を上げているのが、2年目の岡田明丈とドラフト1位ルーキーの加藤拓也だ。ルーキーイヤーからローテ入りして4勝を挙げた岡田は、威力十分の速球で内角を強気に攻める投球で、オープン戦初戦の中日戦でも2回無失点と結果を残した。ルーキーの加藤は、制球面では課題もあるが、社会人チームとの練習試合では4イニングで9三振を奪うなど、前評判通りの剛腕ぶりを見せた。数々の名選手を発掘した苑田聡彦スカウト統括部長が「マウンドでの気迫は黒田を彷彿させる」と絶賛する右腕には、文字どおり「ポスト黒田」の働きが期待される。

 左腕では、実績のある戸田隆矢とルーキーの床田寛樹の名前が挙がるが、戸田は調整不足でキャンプ早々に二軍落ちした。昨季もシーズンの大事な時期に、不注意から左手首を故障して離脱するなど、投球以前の問題がある。床田は、打者の手元で動くボールと安定した制球力で大崩れすることなく、実戦登板でもまずまずの結果を残しているが、走者を置いての投球などに課題も見え始めており、開幕一軍にはもうひとつアピールが必要だ。

 もう1人、キャンプからオープン戦にかけて、投げるたびに評価を上げているのが、大瀬良と同期の九里亜蓮だ。昨季までは先発で今ひとつ結果が残せず、ロングリリーフなどに活路を見出していたが、キャンプから実戦登板でも好投を続け、首脳陣の評価は日に日に高まっている。

 存在感や影響力などを考えると、黒田の穴を埋められる投手など、いるはずがないと言わざるを得ない。ただ、10勝という数字ならば、激しい競争に勝ち残った何人かの投手で埋められる可能性はあるはずだ。ジョンソン、野村に続く先発陣に、どれだけの投手が食い込んでこられるか。その数が増えれば増えるほど、リーグ連覇、そして日本一の座が近づいてくることになる。