WBC1次リーグのキューバ戦で右越え本塁打を放つ筒香嘉智選手=2017年3月7日、諫山卓弥撮影 (c)朝日新聞社
WBC1次リーグのキューバ戦で右越え本塁打を放つ筒香嘉智選手=2017年3月7日、諫山卓弥撮影 (c)朝日新聞社

 WBC第1戦、難敵キューバを11対6というスコアで退けた小久保ジャパン。2ケタ14安打を放った侍打線の爆発が勝利の要因だったが、その攻撃に結びつける試合の流れを作ったのが、守備だった。

 1回表、満員に埋まった東京ドームは、試合開始直後、そして大会初戦の独特の重苦しい空気に包まれていた。その中でキューバの1番・サントスがショートへの内野安打で出塁すると、続く2番・アヤラのサードへの難しいバウンドを三塁手・松田がファンブルして無死1、2塁。重苦しい空気は一気に不穏さを帯びた。

 だがここで、菊池涼介(広島)が魅せた。3番・セペダの一二塁間への鋭い打球に素早く反応してスライディングキャッチ。さらに休む間もなく体を反転させながら2塁へ送球して4-6-3のダブルプレーを完成させた。

 試合後の記者会見、小久保裕紀監督は開口一番、このプレーについて触れた。「初回、独特の緊張感の中でスタートした。その中での菊池のプレー、ゲッツーというのは今日の中では非常に大きかった」。セペダの打球がライトへ抜けていれば、2塁走者が生還するか、もしくは無死満塁で4番・デスパイネを迎えていた。おそらく無事では済まなかっただろう。それが菊池のファインプレーで2死3塁となったのだから、石川にとって、そしてチーム全体にとって非常に勇気づけられたプレーだったことは間違いない。

 そして日本はその後も“守り”でリズムを作る。3回表1死3塁、2番・アヤラの右中間への打球をセンター・青木がフェンス際で好捕。犠牲フライにはなったが、抜けていれば傷口はもっと大きく開いていたはずだ。さらに4回表1死からの5番・サーベドラのセンター頭上を襲った強烈な打球にも、再び青木が背走しながらジャンピングキャッチ。試合の前半戦は1点を争う展開だっただけに、一つ間違えば一気にキューバ側へ試合の流れが傾いても不思議ではなかった。その中での菊池と青木の守備は侍ジャパンに大きな流れを呼び、日本のストロングポイントを改めて再認識するものだった。

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