バルサが誇る強力3トップMSN(写真:Getty Images)
バルサが誇る強力3トップMSN(写真:Getty Images)

 現地時間3月8日(以下現地時間)に行われるチャンピオンズリーグ、ラウンド16。ベスト8を懸けたセカンドレグが行われる。

 バルセロナ(スペイン)はパリSG(フランス)を逆転できるか?

 ファーストレグ、バルサは敵地ながら0-4と大敗。いくら本拠地カンプ・ノウに戻ってくるといっても、この点差を覆すのは簡単ではない。1点でも失えばアウェイゴールが重くのしかかり、たとえ5点とっても負けだ。

 敗色ムードを払拭できない。それが現実だろう。

 加えて、ルイス・エンリケ監督が今シーズン限りの退任を発表。現地では、後任監督選びの話題が先行するようになってしまった。皮肉にも、昨シーズン限りでパリSGの監督を解任されたローラン・ブランが次期候補として急浮上している。

 しかし、カンプ・ノウは“奇跡を起こす箱”である。

 今やバルサと対戦する多くのチームが、「芝を長くし、水を撒かない」というなりふり構わぬ策を用い、バルサのパスワークを封じる。騎兵をぬかるみに引きずり込む。そこに一斉にプレスを掛けるのだ。

 ただ、カンプ・ノウではボールが走る、というよりも滑る。目をみはるコントロール&キックによって、ボールに命が吹き込まれる。プレースピードは上がり、ゴールに殺到する。それに約10万人の観客が沸き立つ。その熱気は、現地で体験した者でなければ分からない。肌があわ立つ。トランス状態に入ったバルサの選手たちは、そこでフットボールの限界を超えるようなプレーを生み出すのだ。

 事実、3月4日のセルタ(スペイン)戦、バルサはカンプ・ノウという箱の中で目覚め、5-0という勝利を飾っている。

 パリSG戦、バルサが勝ち上がる目はない。それが下馬評だろう。

 しかし、MSN(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)までボールが入ったら、5,6得点を叩き込むことは難しいことではない。

 そのために勝利の条件となるのは、「最終ラインから中盤でボールを握り、つなげ、運べるか」という点だろう。ファーストレグではここが分断、封鎖された。しかしセカンドレグは、パススピードはおのずと上がる。その点、完調ではないセルジ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタのコンディションは気になるところだが……。

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