だが、7大会連続でできていたものが、ある年を境に4大会連続でできなくなるというほど、極端な実力差が世代間にあったとは思えない。実際、PK戦で世界大会出場が決まったこともあれば、逆にPK戦で出場権を逃したこともある。いわば、成否は紙一重。結果だけで世代ごとの当たり外れを判断するのは、フェアではない。

 とはいえ、元々の素質という意味での実力に大きな差はなくとも、結果として世界大会を経験できたかどうかで、その後に大きな差が生じてくる可能性は否定できない。その差の最たるものが、国際経験なのだ。

 U-20ワールドカップに出場できるか否かは、単純にひとつの大会に出場したかどうかの違いだけにとどまらない。準備や強化のための海外遠征なども含めると、その経験は相当な差となって広がるのである。もちろん、大舞台でしか味わえない緊張感なども、そこでしか得られない経験だろう。

 ロンドン世代と同様、U-20ワールドカップに出場できなかった「リオ世代」(1993~1996年生まれ)にしても、同じことが言える。昨年のリオデジャネイロ五輪でグループリーグ敗退に終わったとき、当時の手倉森誠。五輪代表監督が「監督も含めた国際経験の乏しさ」を敗因に挙げていた通りだ。

 思えば、日本がU-20ワールドカップに連続出場できるようになったのは、日本代表を付け焼刃的に強化するのではなく、長期的に育成年代を強化することが日本代表の強化につながるという発想があったからだ。

 ところが、日本代表がワールドカップに出場するのが当たり前になると、以前に比べ、図らずも育成年代の強化がおろそかになっていた。若くして海外移籍する選手も増え、若手選手がどんどん伸びているという印象を与えたことも、そんな状況を後押ししたのかもしれない。U-20ワールドカップ出場を逃すようになってもなお、日本サッカー界に危機感はあまり感じられなかった。それを考えると、日本代表における世代交代の遅れは、十分に予想された事態であり、起こるべくして起きた事態だとも言える。

 その意味では、今年開かれるU-20ワールドカップに、日本が5大会ぶりに出場できることは朗報である。現在の20歳以下の世代が東京五輪開催時に23歳以下となる、「東京世代」(1997~2000年生まれ)であるという巡り合わせも強化の後押しになったのだろう。少々時間がかかり過ぎた印象は否めないが、ようやく負の連鎖を断ち切ることができた。

 いかに育成年代の強化が重要であり、日本代表の強化に有効か。東京世代の活躍が、そのことをもう一度認識させてくれるきっかけになってくれることを願いたい。(文・浅田真樹)