■阪神

補強ポイント】
・即戦力投手(特にリリーフ)
・セカンドのレギュラー候補

「超変革」をスローガンに掲げた昨年、思い切った若手選手の抜擢を行い原口文仁(25歳)、北條史也(23歳)、髙山俊(24歳)と将来中軸を任せられる素材が戦力になったことは大きなプラス材料だ。しかし成績はBクラスに沈んだこともあり、オフにはベテランの糸井嘉男(36歳)をFAで獲得。外野は完全に飽和状態に陥いることになった。江越大賀(24歳)、中谷将大(24歳)、板山祐太郎(23歳)、横田慎太郎(22歳)などの若手は間違いなく出場機会が減少し、数年間は“塩漬け”にされる可能性が高い。内野は大山悠輔(23歳)、糸原健斗(25歳)をドラフトで獲得し、長年固定できていないサードは層が厚くなった。メンバーの年齢構成を考えると即戦力よりも将来性を重視した補強が必要な状況と言える。
 
 投手陣は高齢化と外国人依存度の高さが大きな課題。先発はメッセンジャー(36歳)、能見篤史(38歳)のベテラン二人がまだまだ中心で、藤浪晋太郎(23歳)と岩貞祐太(26歳)以外の若手は伸び悩んでいる。リリーフはもっと深刻で、昨年外国人を除いて最も安定していたのは大ベテランの安藤優也(40歳)というありさまだった。ドラフトでは才木浩人(19歳)と濱地真澄(19歳)の将来性豊かな高校生右腕を二人獲得しているが、楽しみな若手投手の絶対数が少ないため上位指名でスケールの大きい投手を獲得したい。

 先発、リリーフとも手薄な状況と髙山、大山と二年続けて野手の1位指名が続いていることを考えると、やはり今年は即戦力が期待できる、もしくはスケールの大きい投手を二人くらいは獲得したい。既に他球団のところで名前の出ている田嶋、高橋、西村の三人は当然候補となるだろう。リリーフに重きを置くなら154km右腕の鈴木博志(ヤマハ)も当然狙い目だ。2位以降で獲得できそうなリリーフタイプとなると葛川知哉(青山学院大)、嶽野雄貴(西濃運輸)が面白い。葛川は重いストレートが武器の本格派サイドスロー。大学では先発も任せられているが球種は多くないため、短いイニングの方が力を発揮するだろう。嶽野は上背はないものの、真上から投げ下ろす150km前後のストレートは威力十分。制球は少し不安定だがリリーフの層を厚くする人材としては最適だ。

 手薄なセカンドで狙いたいのは山崎剛(国学院大・二塁手)だ。魅力はそのスピード。常に全力疾走を怠らず、泥臭く出塁できる。パワー不足は課題だが、東都一部で四季連続打率3割以上をマークしており、ミート力の高さも持ち味だ。現在はショートだが宮本丈(奈良産業大・遊撃手)もおススメの選手。独特の重心の低い構えから広角に打ち分ける打撃は長谷川勇也(ソフトバンク)をほうふつとさせる。地元関西の選手だけにぜひ狙ってもらいたい。

次のページ