スケールの大きいスラッガーとして清宮と並んで評価の高い、履正社の安田尚憲選手 (c)朝日新聞社
スケールの大きいスラッガーとして清宮と並んで評価の高い、履正社の安田尚憲選手 (c)朝日新聞社

 全12球団の補強ポイント、そしてそれに見合うおススメのドラフト候補選手の紹介。今回はセ・リーグ編をお届けする。
※選手の年齢は2017年の満年齢。

■広島

【補強ポイント】
・先発を任せられる即戦力投手
・将来の二遊間候補

 昨年は2位の巨人に17.5ゲーム差をつける独走で25年ぶりの優勝を飾った広島。しかし戦力的には圧倒的なアドバンテージがあるわけではない。特に気がかりなのが投手陣。前田健太のメジャー移籍、黒田博樹の引退と二年続けて先発の柱を失い、ジョンソン(33歳)と野村祐輔(28歳)に続く先発投手に安心感がないのが現状である。数年前から上位指名で大学生、社会人の即戦力候補の投手を獲得しているものの、野村以外は殻を破ることができていない選手ばかり。また、上位指名が大学生、社会人に偏ったことでスケールの大きい高校卒の若手投手が塹江敦哉(20歳)くらいしか見当たらないのも将来的な不安要素と言えるだろう。

 野手は投手と比べると充実ぶりが目立つ。菊池涼介(27歳)、田中広輔(28歳)、丸佳浩(28歳)の三人でセンターラインと上位打線が固定できており、昨年ブレークした鈴木誠也(23歳)もまだまだ伸びる雰囲気がある。伸び悩んでいた堂林翔太(26歳)に復調の兆しが見られるのも好材料だ。石原慶幸(38歳)の後釜が課題だった捕手も中堅の會澤翼(29歳)だけでなく磯村嘉孝(25歳)と船越涼太(23歳)の若い二人が二軍で結果を残しているのも頼もしい。課題は新井貴浩(41歳)、エルドレッド(37歳)が引退した後の大砲候補。そしてもう一つ気がかりなのが「タナキクマル」の三人が同学年ということ。二遊間は若手の人員が少ないだけに、そろそろ将来のレギュラー候補となる選手を獲得したい。

 上位指名で大学生、社会人の投手を獲得し、野手は下位指名の選手を鍛え上げるというのが広島の伝統になっている。統一ドラフトとなった08年以降、野手の1位指名は三度あるが、最初の入札で指名したのは岩本貴裕(31歳)だけ。高橋大樹(23歳)は二度外した末の“外れ外れ1位”で、野間峻祥も“外れ1位”ということも考えると、まず上位で投手というのが既定路線となりそうだ。左の先発がジョンソンしかいないこともあり、田嶋大樹(JR東日本)と高橋遥人(亜細亜大)の150kmサウスポーはぜひ狙いたい。完成度の低い未完の大器タイプが多い投手陣の現状を考えると、実績のある田嶋の方が優先度は高くなるだろう。若手の少なさを考えると高校生投手も積極的に狙いたい。3位以降で狙える投手でおススメなのが三浦銀二(福岡大大濠)だ。スピードは140km程度だが、欠点のないフォームと制球力の高さは魅力。体が大きくなればまだまだ速くなる可能性は高い。

 二遊間を守れる高校生で面白いのは嶋谷将平(宇部鴻城)だ。球際の強いショートの守備は高校生では間違いなくトップレベル。粗さはあるがリストの強い打撃も魅力があり、地元の中国地方の選手ということもあり広島のスカウトも注目しているだろう。

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