大谷翔平投手=2016年10月16日、山本裕之撮影 (c)朝日新聞社
大谷翔平投手=2016年10月16日、山本裕之撮影 (c)朝日新聞社

 プロ野球シーズン開幕まで残り1カ月を切った。毎年、優勝争いとともに注目が集まるのが選手の個人成績。2017年シーズンの投手部門のタイトル争いをセ・リーグ投手に続いて、パ・リーグも予想してみたい。

 パ・リーグの先発投手陣は、多士済々の面々が揃う。昨季は石川歩(ロッテ)が防御率2.16で最優秀防御率、和田毅(ソフトバンク)が15勝で最多勝、勝率.750で最高勝率の2冠、則本昂大(楽天)が216奪三振を記録して3年連続で最多奪三振のタイトルを獲得した。もちろん今季もこの3投手がタイトル争いに絡んでくるだろうが、やはり大谷翔平日本ハム)次第ということになる。

【最優秀防御率・最多勝・最高勝率・最多奪三振】
 昨季の大谷は打撃面で結果を残した一方で、投手としては10勝(4敗)止まり。初勝利が登板6試合目の5月1日までずれ込むと、夏場には指のマメを潰してマウンドに上がれない時期もあった。結果的に防御率1.86ながら、わずかに規定投球回に到達することができずに無冠に終わった。奪三振率も則本の9.97を優に上回る11.19。仮に開幕から先発ローテとしてフル稼働できていれば、最優秀防御率、最多奪三振の2冠は確実で、チームの援護をもらえれば自然と最多勝、最高勝率のタイトルにも手が届くことになる。ただ、WBCを怪我による調整遅れで辞退したように、二刀流をこなす中でシーズンフル回転するのは非常に困難であるのが正直なところ。ボールの威力、投手としての技術ではなく、シーズンを乗り切れる体力、身体的な強さが、大谷の“投手4冠”のためには必要になる。

 その大谷以外の候補では、則本、石川、和田の上記3人に加え、武田翔太(ソフトバンク)、千賀滉大(ソフトバンク)、有原航平(日本ハム)、菊池雄星(西武)、涌井秀章(ロッテ)、金子千尋(オリックス)、岸孝之(楽天)らの名前が挙がるが、この中では武田、菊池、金子の3投手に注目したい。

 昨季14勝8敗、防御率2.95の武田は、まだ23歳。投手としてまだまだ底を見せておらず、ソフトバンク打線という勝ち星を重ねる上で非常に頼れる援護がある。大谷の高校の先輩でもある菊池もまだ25歳で多くの伸びしろを残し、プロ入り後は自らの能力を持て余していたが、昨季12勝を挙げるとともに今年の春季キャンプでもエースとしての自覚が出てきた。

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