菅野智之投手=2017年2月5日、山口裕起撮影 (c)朝日新聞社
菅野智之投手=2017年2月5日、山口裕起撮影 (c)朝日新聞社

 プロ野球シーズン開幕まで残り1カ月を切った。毎年、優勝争いとともに注目が集まるのが選手の個人成績である。タイトルこそ、スターの証。本命馬か、対抗馬か、それとも新星が出現するのか。まずは、2017年シーズンの投手部門のタイトル争いをセ・パに分けて予想してみたい。

 まずはセ・リーグの先発投手陣。過去のタイトル獲得者を振り返ると、数年前までは前田健太(ドジャース)、吉見一起(中日)、内海哲也(巨人)といった面々が常連だったが、昨季は菅野智之(巨人)が最優秀防御率(防御率2.01)と最多奪三振(189奪三振)、野村祐輔(広島)が最多勝(16勝)と最高勝率(勝率.842)と、ともに2冠ずつを分け合った形となった。この2人は今季も健在で、ここに昨季沢村賞を受賞したジョンソン(広島)を加えた3人が今季もタイトルの有力候補になる。

【最優秀防御率】
 その中で最も予想しやすいのが最優秀防御率のタイトルであり、その本命に挙げられるのが菅野だ。今季でプロ5年目になるが、毎年新たな球種を習得したり、ストレートの威力を上げるために指先のトレーニングに励んだりと、常に進化を続ける中でしっかりと結果も残してきた。昨季の防御率2.01は、2位のジョンソン(2.15)に差をつけ、3位の野村(2.71)とは争うまでもなかった。

【最多奪三振】
 同じく最多奪三振のタイトルも菅野が筆頭候補になるが、こちらは2015年に221奪三振を記録した藤浪晋太郎(阪神)、その前の2014年に226奪三振をマークしたメッセンジャー(阪神)、さらに昨季156奪三振を記録した岩貞祐太(阪神)の3投手が立ちはだかる。特に藤浪はまだまだ大きなポテンシャルを秘めており、今年の春季キャンプでも進化の兆しを見せていた。三振数だけでなく、他の投手タイトルに絡んでくる可能性は大いにある。

【最多勝・最高勝率】
 一方、最多勝と最高勝率については、チームそのものの調子や打線の援護によるものが大きい。現に昨季は野村16勝、ジョンソン15勝と優勝チームの2人が上位を占め、菅野に至っては、打線の援護を欠いたり、救援陣がリードを守れない試合が続いたりするなど、周りに足を引っ張られる形で9勝に終わった。反対に、チームが波に乗れば、自然と菅野の勝ち星も積み重なるだろう。

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