開幕戦で「らしさ」は見せた中村俊輔。だが、本来の輝きを放つには時間が必要なようだ(写真:Getty Images)
開幕戦で「らしさ」は見せた中村俊輔。だが、本来の輝きを放つには時間が必要なようだ(写真:Getty Images)

 開幕戦ともなれば、自ずと新しい要素に目が行くものだ。J1各クラブが期待を寄せる新戦力の「初陣」は、どうだったのか。ここで、ざっくり振り返ってみたい。

 先週末に開催された計9試合の総ゴール数は18。そのうち、3分の1を超える7ゴールが新戦力によって生まれている。いかに多くのクラブがアタッカー陣のテコ入れを図ったか。その証と言ってもいい。

 浦和のラファエル・シルバ、横浜FMのウーゴ・ヴィエイラ、広島の工藤壮人、仙台の石原直樹といった移籍組のストライカーが名刺代わりの初ゴールでスタンドを沸かせている。この中で最注目はラファエル・シルバか。

 狭いスペースの中で巧みな技術と冷静さが光った1点目といい、一瞬で敵の背後へ抜け出した2点目といい、観る者をうならせるシロモノ。ケガなく、フル稼働すれば、浦和の強力な決め手になり得ることを示した。

 途中出場のウーゴ・ヴィエイラはCKからの同点ヘッドで逆転劇への布石を打つ働き。柏時代から開幕戦に強い工藤は味方の縦パスが入らず、周囲との連係に苦心しながら、しっかり結果を残すあたりが頼もしい。石原は持ち前の機動力でかき回した上に、値千金の決勝ゴール。決め手不足の懸念もあった仙台にとっては吉報だろう。

 得点以外の出来・不出来はあるにしても「点を決めてナンボ」がストライカーの宿命。その意味では、上々のすべり出しと言ってもいい。逆に大宮の新たな得点源として期待される大前元紀は複数のチャンスを棒に振り、敗戦を招いた格好。もっとも、動き自体は悪くなかっただけに、早く結果(ゴール)がほしいところか。

 移籍組でFW以外の得点者はダビド・バブンスキー(横浜FM)と原川力(鳥栖)の2人。前者は齋藤学からのパスを、丁寧にゴールへ流し込み、後者はFKからネットを揺らしている。どちらも派手さはないが、ダビド・バブンスキーは神出鬼没のシャドーとして、原川は計算できるキッカーとして、それぞれベンチに重宝されそうだ。

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