トランプ大統領の就任により、今後スポーツ界にどんな影響が及ぼされるのか。(写真:Getty Images)
トランプ大統領の就任により、今後スポーツ界にどんな影響が及ぼされるのか。(写真:Getty Images)

 ドナルド・トランプが大統領に就任以来、アメリカのスポーツ界では否定論を中心に報道されることが多い。NFLのスーパーボウルを制したニューイングランド・ペイトリオッツのマーテラス・ベネットがホワイトハウスの訪問拒否を明言、NBAの元スーパースターのカリーム・アブドゥル・ジャバーが「史上最も病んだ大統領だ」と発言、といったあたりが代表的なところだ。

 とはいっても、“アメリカ第一主義”を打ち出す大統領に肯定的な意見がないわけでは、もちろんない。元MLBプレーヤーのジョニー・デーモン、ボクシングの元世界ヘビー級王者マイク・タイソン、元NBAのスーパースターだったデニス・ロッドマンらは公にトランプ支持を公言してきた。  

 「アメリカを再び偉大にしよう」

 デーモンは昨年11月にはトランプラリーに参加し、そんなプラカードを掲げたことが全米的なニュースにもなっている。

 現役時代にはレッドソックス、ヤンキースで優勝を経験したデーモンだが、2012年を最後に引退。公にトランプを支持する発言をしているのは現役を離れた元選手が多いのは特徴と言えるだろうか。現役選手に関しては、慎重に様子を見るか、あるいは自身のキャリアへの影響を考慮し、まずは沈黙しているというのが正直なところかもしれない。

 ただ、最近は状況が少しずつ変わり始めている。トランプ大統領が難民やイスラム圏7カ国からの入国を制限する大統領令にサインして以降、この法令に関して発言するアスリートが増えているのだ。

 「NBAには世界最高の選手たちが集まり、最高のパフォーマンスを繰り広げている。それゆえ、政府の移民政策の影響を懸念している。それはNBAの繁栄の根本の部分に反しかねないからだ」

 NBAのコミッショナーを務めるアダム・シルバーも、今月のオールスター期間中にそんな慎重なコメントを残していた。また、グレッグ・ポポビッチ(サンアントニオ・スパーズ)、スティーブ・カー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)といったリーグを代表する著名なコーチたちもトランプの移民政策を公に批判している。

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