選手のランニングを笑顔で見守る阪神の金本知憲監督=2017年2月12日、安藤嘉浩撮影 (c)朝日新聞社
選手のランニングを笑顔で見守る阪神の金本知憲監督=2017年2月12日、安藤嘉浩撮影 (c)朝日新聞社

 金本知憲新監督による“超改革”で華々しくスタートした昨季の阪神だったが、終わって見れば4年ぶりBクラスとなる4位。経験を糧にチームが大きく成長するのか。それとも暗黒時代に逆戻りするのか。今季は大きな分岐点となり得る重要なシーズンになる。

 補強の目玉は糸井嘉男だ。昨季、打率.306、17本塁打、70打点に加え、53盗塁をマークして史上最年長盗塁王(35歳2カ月)に輝いた超人の加入は、チームを走攻守において大きくスケールアップさせることができる。だが、春季キャンプ直前に右ひざを痛めて別メニュー調整が続いているのが現状。2月下旬からフリー打撃こそ再開しているが、完全合流は3月中旬ごろまでズレ込みそうな気配だ。昨季も左ひざに痛みを抱えて初実戦は3月6日だったという“実績”のある糸井だが、キャンプでの出遅れは決してプラスとは言えない。

 もう一人、カギを握る新戦力がキャンベルだ。在籍3年で通算打率.270、65本塁打、260打点と4番として働いてきたゴメスをクビにしてまで獲得した新外国人だが、春季キャンプではスロー調整。守備練習も含めて真面目な性格で優等生ぶりをアピールしているが、肝心のバッティングはパッとしない。期待の新戦力がまだまだ未知数では、昨季からの上積みにも疑問符を付けざるを得ない。

 もちろん期待もある。原口文仁、梅野隆太郎、坂本誠志郎の正捕手争いが互いのレベルアップを生み、同様に鳥谷敬、北條史也の遊撃手争い、上本博紀、西岡剛、大和の二塁手争い、キャンベル、今成亮太の三塁手争いに2軍の4番・陽川尚将、ルーキーの大山悠輔や糸原健斗も加われば、チーム全体に活気と相乗効果が生まれるはずだ。外野も理想では、「左翼・高山俊」、「中堅・糸井嘉男」、「右翼・福留孝介」になるだろうが、そこに中谷将大、横田慎太郎、江越大賀らが割って入れるか。逆に言えば、昨季の広島・鈴木誠也のような“神ってる”選手が現れれば優勝争いも見えて来るが、若手が伸び悩むようだとすべてが瓦解しかねない。

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