3位に予想した鹿島は“取れるタイトルを全て取りにいく”という石井正忠監督の宣言通り、全てのコンペティションにおいて優勝候補になりうる戦力を有しており、アジア制覇への並々ならぬ意欲を前面に押し出した積極補強は頼もしい限りだ。おそらくACLに参戦する4クラブの中でACL優勝に最も近いのは鹿島ではないか。ただ、いくらターンオーバーに耐えうる戦力を有していると言っても、J1の重要な試合の前後にACLが入ってくることはフィジカル面のみならず、メンタル面、さらに試合に向けた戦術的な準備という意味でも負担になる。

 ACLで躍進し、その前提でJ1連覇を果たすための条件となるのはレオ・シルバやレアンドロら新戦力のフィットだ。またターンオーバーが可能な戦力と言っても、金崎夢生と昌子源は替えが利きにくい。その意味で彼らがシーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮することに加え、売り出し中の鈴木優磨や植田直通のさらなる成長が求められる。そうした要素がそろった上で、浦和やG大阪などのライバルと終盤まで接戦を繰り広げる展開になれば、ACLとJ1のダブルタイトルも見えてくる。

 4位に予想した広島は過去5年間で3回の優勝を経験した選手が多く残っており、そのうちの2シーズンはACLに参戦していなかったことから、順当なら再び優勝争いに絡んでくるはずだ。昨季は夏に浅野拓磨が移籍したことで前線のオプションを失ったことも年間6位という成績に少なからず影響した。今季はオフに長くエースを担った佐藤寿人が移籍(名古屋)、清水からの期限付き移籍で昨季19得点をあげたウタカの去就が未定ということで、攻撃は新エースとして期待される工藤壮人や新外国人のアンデルソンの活躍次第ということもあるが、成績がさらに下がることは考えにくい。

 大型補強のFC東京、神戸、そしてACLにも参戦している川崎Fは戦力的に上位に割って入るポテンシャルは十二分に備えているものの、主力の入れ替わりがチーム作りに影響する部分は大きく、1ステージ制の勝ち点で頂点に立つのは難しいのではないか。川崎Fは大久保嘉人のポジションに家長昭博が入る形で高い攻撃力は維持しているものの、ACLの初戦を見ても連携面には未知数な部分があり、鬼木新体制で戦い方が安定するには時間を要するかもしれない。

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