同じACL不参加組のダークホースとして、FC東京を挙げてみたい。今オフ随一の大型補強を敢行。巨砲の大久保嘉人、韋駄天の永井謙佑、天才肌の髙萩洋次郎、名キッカーの太田宏介といった大駒を一気に取りそろえた。未知数な部分も大きいが、ハマったときの破壊力は計り知れない。ポテンシャルの高さを考えても、格好の「惑星馬」だろうか。

 一方の残留争いはどうか。例年どおりなら、J2からの昇格組は苦戦を免れそうにない。例外は現役日本代表の清武弘嗣がスペインから戻ったC大阪だろうか。西の伏兵と比べると、戦力面で大きな上積みのなかった清水と札幌は厳しい戦いを強いられるかもしれない。

 昨シーズン、残留争いに巻き込まれ、新体制で出直す甲府(吉田達磨監督)と新潟(三浦文丈監督)も、開幕時点では楽観的な見通しは立ちにくい。互いにスタイルの転換を模索中だが、それぞれのキーワードを探っていくと、前者が進化、後者が回帰と対照的だ。

 いまの場所(堅守速攻)から離れようとする甲府と、かつての場所(堅守速攻)へと戻ろうとする新潟。同じチャレンジでも、より大きなリスクを伴うのは前者の方か。そのぶん、より大きなリターンも見込めるが、果たして、事がうまく運ぶかどうか。

 降格圏内の16位に甲府、17位に清水、18位に札幌としたが、毎シーズンのように思わぬクラブが降格の憂き目に遭ってきたのも事実。有力選手を抱えながらも降格した昨シーズンの名古屋も、その一つだ。

 いずれにしても、自信をもって言えるのは、こちらの予想が見事に裏切られる――ということだけ、である。いや、だからこそ、今シーズンもJリーグは面白い。(文=サッカージャーナリスト・北條聡)